修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2017.01.06【Vol.1417】
携帯から奏でる言葉は助けを求めていました。若き頃、一度のみ手がけたHANZA Canonを修復してもらいたいでした。その時の記憶は、今日の製造元の姿と違い加工精度に難ありで苦労した思い出でした。
組み込まれているニッコールレンズを外します。流石、日本光学の加工品質は素晴らしい。
目に飛び込んで来たのはシャッター幕リボンの片割れです。
組み立ての時の問題点は接眼レンズの締め付けでした。距離計筒と上カバーに隙間があり、締め付け量によっては昇降ファインダーに不具合が出てしまいます。
締め付け量が少ないと緩んで紛失する恐れがあります。そこでスペサーを探しだして対応しました。
A-Rレバーは上カバーに取り付けたまま分離しました。レリーズボタン周りも外さずにすみます。
枚数計部を外します。
マウント部を外し、各部にありますネジ10本を外します。
シャッター機構部側とスカートに分離されます。
三カ所の遮光板を外します。
リボンを作成し、加重を掛け、合わせ目部分を密着させます。
シャッター幕軸にはリボンの接着力を高めるに溝が入れてあります。
2015年にシャッター幕を張り替えた履歴が判明しており、ミシン縫いを施してありますので可なりの技量をお持ちの方と推測致します。リボンのみ新調致しました。
1936年(昭和11年)から1.000台余り製造されたようですが、戦禍で幾ばくかの個体数が消えたものと思います。その内の二台を隠居人が修復したのは感慨深いですね。
(http://global.canon/ja/c-museum/product/film2.html)