修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2017.02.17【Vol.1428】
遺棄していましたPax系の修復に挑戦し、不本意ながらも動作させることが出来たのです。
そうしましたらジャンクにしても良いからと、お世話になっている方より頼まれてしまいました。ま~ぁ!コラムネタになればと引き受けてしまい完成した姿です。
でも分解の過程を記録する暇も無く親より授かりし引き出しへ収めながらでしたので順不同の記事かと思います。
レール面側より遮光板を外し、3本のネジを外しますと本体よりレンズ側がポトリと分離したのです。ここまでは前回のPaxと同じ経過ですが、仕様に大きな違いがあります。
それはシャッターセット歯車とレリーズ棒です。この両者がシャッター制御部とどのような関係なのか?ですね。
シャッターセット歯車にピンが刺さっています。仮定で抜かなければ分解できずと直感した次第です。
次はレリーズ棒とシャッター制御部との関連でした。後に解ったことですが、シャッター制御部に繋がっており、特殊形状の固定ネジを緩めて連結を解除しなければなりませんでした。
但しレリーズ棒戻すバネが掛かっていましたので変形に気を遣いました。
シャッターセット軸及びレリーズ軸を抜くことが出来ましたので、シャッター制御部に続いて絞り部を外すことが出来ました。
問題の大持病であるヘリコイドグリス固着を如何に外すかでした。
距離環を止めている3本の剣先ネジを緩め溶剤を射し込みますと分離することが出来ました。
最大の難関は中ヘリコイドと内ヘリコイドに使われているグリスの固着です。
如何に固化したグリスを緩めるかに掛かっています。最初にシンナーを注しての繰り返しでしたが効果無し。次にアセトン系を使用してみました。中々浸透しないようで難儀しています。薬品臭で家人から顰蹙をかいました。薬品臭が無くなった頃を見計らい腕力に頼るも貝の口は開きませんでした。ヒートガンで数度の加熱をするも同じでした。
年末の晦日蕎麦の材料も集めねばなりませんから一時作業中止か?分解された状態でゴメンの選択を迫られたのです。新年になれば道は開かれるのか?
年が明けましてお屠蘇気分で再開。過去の経験から、これでもかとヒートガンで加熱したのです。ヒートガンは半田を溶かすほどの熱量を出します。加熱したヘリコイドは物が発火するほどの温度になったのです。握る手を保護して捻りました。
動いた!!手こずらせましたヘリコイドが分離できる瞬間です。
部屋では固着したグリスの洗浄は薬品臭で出来ず、外で洗浄致します。
分離したのは喜びですが、再度頼まれても手がけるのは拒否ですね。