修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2017.02.24【Vol.1430】
お勉強する前に合致を確認しから腑分けをしていきます。加工精度を要求されるドレーカイル方式。その驚愕の方式を矢鱈と分解してしまいますと像が水平に移動しなくなる厄介さです。本体よりシャッター駆動部を分離し、ヘリコイドを無限位置にして①~④のネジを外し、化粧カバーを慎重に外します。
ドレーカイルの一機構である摺動レンズABの山部に赤塗料で印を付けておきます。 各の摺動レンズは傾斜を持ったレンズで回転させると像が上下に変化します。 そしてお互いの角度が一致し左右に回転することで像が水平移動します。 在職時代禁断の域とかで社内処理はされませんでした。で知識を持たなかったのです。 その後摺動レンズの性格を理解すれば禁断の域とはならないのです。
摺動レンズABを動かさないよう摺動レンズ作動環を外します。(印を着けてあるので修正は利きます) ①~④のネジと固定板を外します。
前群レンズとヘリコイドに終端位置を示すV印が付けてありました。 経年変化したグリス交換を致します。
押さえ盤・秒時カム環を取り除きますとシャッター制御部の全体が確認できます。
シャッター制御部とシャッター収納室とに分離します。 作動が重い絞り部を尚も分解洗浄して新たなグリスを塗布します。
シャッター制御部の肝心要の部分です。分解洗浄し、二硫化モリブデン粉を塗布します。
ファインダー清掃をすべく巻上ノブを外しに掛かりましたら、部品が飛び出しバラバラになってしまいました。びっくりしました。 問題になりましたのはスペサーの組み込み順番でした。小首を傾けながら思考します。 もしスペサーを組み込まなければスプリングがペタッと押さえられ作用しなくなると理解したのです。考えが正しいか組み立て確認をしましたところ巻上ノブの収納時に押さえる働きをしている事が判明しました。
レリーズ釦・固定ネジ・枚数計初期化釦と外します。上カバーが外れる様子がありません。 枚数計化粧環を外すのか?でも外せませんでした。枚数計化粧環に隙間がありましたので覗いてみると内部よりネジ止めになっていました。 次に左側の露出計追針部を分離しましたが、上カバーを外せませんでした。 元に戻しました。
他に手立ては?と化粧犠皮を剥がしてみるとダイキャストに分かれ目があるのです。 す~わっ!くるりと化粧犠皮を剥がします。
化粧犠皮を剥がしただけでは上カバーを分離できません。他に外すべきネジがあるのか?フィルム室内にあるスプール受け部の固定ネジを緩めてみました。 オ~ッ!上カバー部が外れる気配で抜き去ると長い仕様のネジでした。
ドレーカイルは動かしたくありませんね。医療器具SQARE BROACHESで楽々清掃が出来ました。上下調整摺動レンズは三重連です。調整するには専用治具が必要のようです。