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「リズムシ」シリーズの開発者、成瀬つばささんに直撃!(後編)

2012.05.22 UP

(お話をうかがった人)
成瀬つばさ さん

国立音楽大学を経て、多摩美術大学大学院ではメディアアートの研究を行う。卒業後の現在は、メディアアーティストとしてのアプリ制作や、イラストレーターとしての活動、ワークショップなど幅広く活躍中。最近ではWeb文芸誌「マトグロッソ」での連載もスタート。「リズムシ」をはじめ、「ラップムシ」、「オトスケッチ」、「オトツムギ」など、10の音楽アプリが大ヒット。

公式サイト
オトノアソビバ
マトグロッソ(amazon.co.jp「文学・評論」カテゴリー内の「マトグロッソ」へのリンクをクリック)

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カテゴリ ミュージック
更新 2010.05.28
サイズ 2.3MB
言語 日本語,英語
販売業者 tsubasa naruse ©2009 Tsubasa Naruse
条件 iPhone、iPod touch および iPad 互換iOS 3.1.3 以降が必要
対象年齢 全年齢

キャラクターグッズをオールハンドメイドしていた時代も!

――美大の大学院生時代に「リズムシ」をリリースして、現在はアーティストとして活躍中ですよね。アプリの制作以外では、どんなことをされているのですか?

成瀬つばさ:ガチャガチャにもなっているマスコットやiPhoneケース、ストラップ、手帳など、リズムシさんのグッズ展開に力を入れています。グッズ制作にはもともと興味があって、以前から自分でも作っていたんですよ。

――ハンドメイドでリズムシさんのグッズを作っていたんですか!?

成:はい。最初に作ったのは缶バッジでしょうか。ミシンが得意だったので、バッグやティーコゼーのようなものも自分で縫って制作していたんです。だから、アプリの人気が出てきた勢いでキャラクタービジネス“も”やってみたというよりは、そもそも制作活動としてやっていたことを広げていったイメージなんです。普通のキャラクターグッズって、ありものの素材を組み合わせて制作されることが多いんですが、リズムシグッズではなるべくイラストを描き下ろすようにしています。もちろんどうしても限界はあるんですが…。最近発売した「リズムシてちょう」でも、表紙、月ごとのイラスト、おまけコーナーやシールなど、ほとんど新たに描き下ろしました。キャラクターグッズというよりは、手作り手帳のような感覚でしたね。

――イチから手作りでグッズを制作されていたとは驚きです! 手帳しかり、本当にゆるカワで、見ているだけで癒されますよね。グッズからリズムシさんファンになった方もいらっしゃるのでは?

成:そうなんです。「リズムシ」のアプリをまったく知らなくて、キャラクターから入る…というケースも、ありがたいことに少しずつ増えてきていているみたいで、何だか不思議な感じです。アプリを知らずにこのイラストを見たらいったいどんな印象なんでしょうね(笑)

かわいいグッズがずらり!最初に発売されたグッズは、「graniph」とコラボしたTシャツ(右上)
グッズ案も、かわらしい手描きです♪

小学生のころからアプリ制作に興味が!

――グッズはこれからさらに種類が増えていくかと思いますが、その次の展開としては、どんなことを考えているのですか?

成:やりたいことはまだまだたくさんあるんですけど、現在進行中なのは、雑誌やWeb媒体での連載です。最近では『マトグロッソ』というWeb文芸誌の中で「リズムシさんのジッケンムシ」という連載が始まりました。ここでは毎週ちょっとした音の実験をしています。例えば「身近な音であそぼ!」という回では、家の中にあるいろんなものを叩いてマイクで録音したものをあらためて聴いてみて、その音でリズムを作ってみるということをしました。今後の連載では、何か楽器にフォーカスを当てて研究してみたり、作曲技法をとりあげたり、数学や物理もとりいれた実験をしてみたりと、色々な内容を考えています。

WEB文芸誌『マトグロッソ』の連載中の「リズムシさんのジッケンムシ」

――面白い連載ですね! アプリを作ったり、イラストレーターとしても活躍したり…音大に入学したころは、こんなふうになるとは思っていなかったのでは?

成:学生時代から、インタラクティブに音と絵で遊べるコンテンツを作りたいという気持ちはずっとありました。たくさん勉強し、制作したものを展開していって、最近になってやっと少しずつイメージ通りのものを作れるようになってきた、という感じですね。

――「リズムシ」のようなアプリを作ってみたいと思い始めたのは、いつごろだったのですか?

成:テレビゲームやパソコンに触り始めたころからになるのでしょうか。小学4年生くらいのときですね。当時から、遊ぶことよりもその仕組みの方に強い興味を持っていて、作ってみたい気持ちがどんどんふくらんでいき、ノートにパソコンの画面や自分で考えたゲームをどんどん描いていったんです。2Dゲームが主流だったスーパーファミコン全盛期の当時、そこから大きな影響を受けたので、今でも私の描く絵ってすごく2D感が強くなってしまうんですよ。訓練しても、奥行きのある絵はどうしても苦手なままで。3Dの絵が描けないのは大きなコンプレックスでもあるんですが、武器だとも思っています。手描きアプリのルーツはそこにあって、その後、努力して身につけていった音楽と組み合わさって今の形になりました。

音で遊ぶことの楽しさを知るきっかけになってほしいから、有料にはしない

――「リズムシ」シリーズのダウンロード数は、300万DL目前ですよね。現在はすべて無料ですが、有料アプリを作る予定はないのですか?

成:音楽アプリを有料にしてしまうと、音楽に興味のある方しかダウンロードしてくれなくなってしまう可能性が高いと思うんです。そうなると、いろいろな可能性が潰れてしまうような気がしていて…。

――確かにそうですね。有料になったら、「アイコンが気になったからDLしてみたら、面白くてハマった」みたいな声は少なくなりそうな気がします。

成:そうなんです。それに「リズムシ」シリーズには様々なコンセプトがあるんです。たとえば「ラップムシ」。あれはHIPHOPミュージックを分解して、アプリの中で再構成する生成音楽作品としての側面も備えています。「おまかせラップ」機能をONにして、iPodで普通に音楽を聴くような感覚でその場で生成される音楽を聴いてくれる方もいます。これは、音楽の歴史的にも少し面白いことができているんではないかと考えています。そして、このアプリは成功・失敗の判定があるような「ゲーム」ではないので、体験者が自身で遊び方を考えないといけないんですよね。自発的に好きな音やリズムを選び、組み合わせる体験っていうのは本来「ジャムセッション」のような場で体験できることで、音楽の専門家でない人間にはかなりハードルが高いはずです。そういう体験を、アプリで遊んでいるうちに自然にしてもらって、音で遊ぶことの楽しさを知るきっかけになったらいいなと考えているんです。そういう意味でも、無料で配信するのがベストだと思っています。

スケッチを画面に描いて音を鳴らして遊ぶ「オトスケッチ」や、ブロックに音をはめてリズムを作って遊ぶ「オトブロック」など、ユニークなアプリがいっぱい

――なるほど。「まだまだやりたいことがたくさんある」と仰っていましたが、それを実現していく上で、今後身につけたい技術などはありますか?

成:もちろん、これからも日々いろんなことを学び続けていくつもりではいます。とはいっても、全く新しく何かを身につけたいという気持ちはあまりないんです。少しずつ形になってきた今のテイスト、手描きタッチや音のインタラクション。これを研ぎすましていって精度の高いものにしてくことが重要だと思っています。研究を続けていくことで、自然と新しいものが生まれる状態。それが理想だと考えています。

あとがき

「このアプリを通して、たくさんの人に楽しい音楽体験をしてもらいたい」という成瀬さん。音を組み合わせて遊ぶのって、子どもの教育にも良さそうですよね。10年後には、「『リズムシ』がきっかけで音楽の道を志しました!」なんてミュージシャンが登場したりして!?

  • 掲載されている製品・サービスは、2012-06-11 現在の情報になります。
  • スペック情報、価格は万全な保障を致しかねます。詳細については、各メーカーにお問い合わせください。

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