修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2016.12.30【Vol.1416】
歯車の破損で巻き上げがガリガリしていると、カメラ修理同好会の方より頼まれてしまいました。それにしても何が起こり、どうして破損したのかの原因を探らねばなりません。
底カバーを分離すると遊び人のネジを確認しました。
遊離したネジがどこぞに引っかかり動きを阻害していたのを無理矢理巻き上げたようです。
更に係止レバーに錆が出ており動きが悪いのです。
この係止レバーが働かないと巻き上げた時にドラム軸が係止されずシャター幕が戻ってしまいます。ですから「おかしい!おかしい!」と何度も巻き上げたのでしょう。
係止レバー及び係止レバー軸の錆を清掃した後、モリブデングリスを塗布して納めます。
セルフタイマーレバーが不自然な位置にあります。
人間の性と申しましょうか?作動しないと、何とか?作動しないかと動かせるところを弄ってみるのです。
セルフタイマーを分離するとカシメが外れていました。正常であればそれ程加重は掛かりません。何度も繰り返した結果、所有者の行為に耐えかね自らカシメを外したものと思います。
カシメ直すには外れた軸ののりしろ確保にドリルで揉みます。
ポンチでカシメれば修復完了です。
枚数計組品を外しましたら巻上連絡歯車一歯が欠けていました。
何度も作動させたのですね!巻き上げ歯車に大きな損傷がありました。
渡されたキヤノン7から流用できないかと比べると、高さが仕様変更され移植は出来ませんでした。巻上連絡歯車も二分割仕様から一体型に変更がありました。
結局カメラ修理講座で紛失部品用の個体より移植しました。
ま~ぁ!道具としては機能を失いましたが、他方で道具として蘇りますから良しと致しましょう。
道具に不具合が生じた場合は原因があります。今回の原因は遊離した1本のネジから始まりました。負の連鎖で修復できず消え去るのは悲しいですね。
兎も角、コラムネタを提供戴いたのには感謝です。