修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2015.01.23【Vol.1189】
蕎麦打ち道具を引き出すのも一仕事です。
使用します蕎麦粉は旧津久井町根小屋で育て3年振りに収穫に至った銘柄種です。
今年の風味と喉越しは如何なのでしょうか?
冷凍保存しておきましたので篩を掛けます。
水回し、菊練り、臍出しします。捏ね鉢から打ち板へ移しピザ生地宜しく薄くします。
生地を回転させながら麺棒で均一の厚さになるよう丸出しを致し、四角くする四つ出しを致します。
後は麺棒3本を駆使して均一な厚さ、大凡マッチ棒(1.5mm)の厚さに伸していきます。
銘柄品種の血を引き、根小屋の風土が育てた蕎麦粉は気持ちが良い程伸びてくれます。
打ち粉を振って畳み桐俎板の上で切りを致します。
駒板を押さえる力加減と包丁で駒板をずらす力加減が合いますと揃った切りになりますが、両者の力加減に乖離があると不揃いな麺になってしまいます。
如何な打ち上がりなのか?試し茹でをして確認をします。
先に仕込みました蕎麦つゆも馴染み、大阪小倉屋山本の真昆布は混合節と相まって優しいお汁に仕上がっています。
この打ち上がりなら渡すことが出来ますね!
5kgを一度に打つには体力が。。。と言うより右肘が保たないと思うので晦日前日と大晦日に配る方と分けたのです。
出向けない方には宅配の手当を致す梱包を致します。
大晦日に打ちました蕎麦も確認の味見を致します。
この後、家族で晦日蕎麦を味わったわけですが、名店以上だったのでしょうか?3枚もお腹に収めた家族がおりました。
届け終わった頃には大晦日の帳が降りようとしていました。
届けました方々からお礼のメールを頂き根小屋蕎麦を褒め称えていました。
こんなに喜ばれますと又、根小屋蕎麦を播種したくなります。
初期の蕎麦の食べ方は素朴な蕎麦掻きで江戸時代に蕎麦切りが広がるまで主な食べ方でした。簡易的にはお椀に蕎麦粉を入れ、熱湯を注ぎ箸でひたすら掻き回しますと古里を偲ぶ蕎麦掻きになります。
蕎麦切りと趣を異にし、酒の肴として作ってみることにしました。
贅沢に割り粉を入れないでも繋がります十割打ちの出来る蕎麦粉を使用します。
適当に水を加えて火に掛けひたすら掻き回しますが、途中から粘度が増します。粘度に負けないよう必死に掻きます。掻き回すことで空気を取り込み口当たりが良くなるのです。
その様は、火から下ろした鍋を腰で押さえ、摺り扱き棒をこれでもかと回転させる重労働になり、火に掛けては、を繰り返します。
蕎麦掻きを柿の葉に例え、形を整え、葉の葉脈を描き、蕎麦湯に浮かせれば完成です。
蕎麦粉の善し悪しが如実に現れる蕎麦掻きでした。