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修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー

2015.06.19【Vol.1239】

KODAK BANTAM SPECIAL

BANTAM SPECIAL

コダックのデザインコンスルとウォルター・ドーウィン・ティーグによるKODAK BANTAM SPECIALはアール・デコ調の美しさに惚れ、物欲の無い隠居人も求めてしまいました。
1936年に発売され828フィルム(バンタム判)を使用する特殊性があります。
何しろ塗装ではなく琺瑯仕上げで曲線と横縞模様が何とも言えない雰囲気が漂います。

BANTAM SPECIAL

ファンインダーにカビがありました。3本のネジを外せば道は開けるのか?

BANTAM SPECIAL

レンジファインダー毎外れてきました。直角プリズムが複雑に組み合わされています。
真中に障害物で遮り、どちら側にカビがあるのか確認をいたします。

BANTAM SPECIAL

大きな問題は起こらないと2個の直角プリズムが取り付けられている板を外してみました。

BANTAM SPECIAL

他にも直角プリズムが取り付けられています。一面でも多く清掃したい。でも外すのは剣呑です。直角プリズムと取り付け板との間に僅かな隙間がありました。
麻製の清掃詩を差し込み、カビを清掃します。未だ他の面にもカビがあるようです。
調整が大変ですので、此処までといたします。

BANTAM SPECIAL

シャター機構部を外すには、定石なら締め付け環があるはずです。
一見、締め付け環に見えるのは後群レンズで、他には何も見当たりません。
を外す道筋は何処にあるのか?

BANTAM SPECIAL

ヘリコイドは直進します。良く観察をいたします。試しに後で判明した直進ピンを外してみました。
ヘリコイドが前後に移動しなくなり、シャター機構部毎回転するようになりました。

BANTAM SPECIAL

本体からヘリコイド付きでシャター機構部が外れました。
ヘリコイド&後群レンズを分離しなくてもシャター機構部は分解できそうです。
しかし、構造上の確認のためにヘリコイド&後群レンズを外そうとしたのですが、接着剤を使用しているようで力技では外せませんでした。
外せない場合は温めよ!バルサム剥がれに注意しながらヒートドライヤーで加熱すること数度。外すことが出来ました。痕跡から、この時代はニカワを使用していたようです。
画像は緩んでヘリコイドの取り付け線条が緩みました状態です。

BANTAM SPECIAL

固定ネジの切り欠けを押さえ環の外径に合わせ、半時計方向に動かしますと、秒時カム環共々外すことが出来ます。

BANTAM SPECIAL

作動音が濁っておりましたので秒時制御部を分解洗浄いたし、注油します。

BANTAM SPECIAL

絞り羽根は油分の湿潤により張り付いていました。損傷に繋がりますので一枚一枚脱脂いたします。
組み立てますと良き音色を醸し出しています。
1925年に開催されたパリ万国装飾美術博覧会で花開き、(Exposition Internationale des arts de’coratifs et industriele modernes)の略称からアール・デコ博といい、略称からアール・デコと呼ぶようになりました。 ウォルター・ドーウィン・ティーグ氏は、橋幸夫&吉永小百合が歌いました「そこは青い空だった」のボーイング727もデザインしたようです。
折角直したのですから、自宅にアール・デコ調の飾り物があると自慢してみましょうかね!

隠居人 田口由明

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