修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2015.11.06【Vol.1287】
測定外ロックレバーの滑りが悪くなりますと測定外であってもシャターが切れてしまいます。清掃で対処します。測定外ロックレバーの赤線部分がシャターの切れない位置で緑線部分が切れる位置になります。
定番の症状として油分湿潤による張り付き、カビの発生でも同じ症状になります。
3本のネジでシャター羽根室が外れます。稀ではありますが、シャター羽根室組み込み時にシャター開閉レバーを赤矢印方向に押しながらメインバネを巻きますとネコ目(隙間が開く)になる事があります。その際はシャター羽根室を開かない位置に寄せて3本ネジを止めます。
Pen-EE系のシャター制御部です。一見、腑分けするに面倒の様に思われますが、機構を理解すれば難しくはありません。何度も分解・組み立てを致し会得しましょう。
此処で動作確認をしておきます。シャターが動作するようにメインバネを巻き上げ、低速ホイールドラムを押さえてシャターを切った後、低速ホイールドラムより指を離します。
メインバネにヘタリやシャター開閉軸の汚れが有りますと低速ホイールドラム解除レバーの力量に負けて停止してしまいます。その際、之から分解した際に清掃やメインバネの切り詰め等の対処をします。
覆い板を固定している赤①のネジを外します。
覆い板には逆転係止レバーに作用するバネが掛かっています。
作用バネの一端は逆転係止レバーに、もう一端は覆い板に掛かっています。
又、逆転係止レバーはメインバネセット歯車を係止しており、偏芯台座を挟んでネジで固定してあります。
メインバネセット歯車と逆転係止レバーの咬合部(赤○部)は過不足・過多を偏芯台座で修正を致します。(通常は外しません)
メインバネセット歯車の回転部に油分の経年変化や汚れが入り込み粘りが出る事があります。ベンジンをメインバネセット歯車に隙間に挿して汚れを落とした後、注油します。
結果、フィルム巻き上げも軽くなります。
メインバネセット歯車と逆転係止レバーの咬合部(赤○部)は過不足・過多がありますと、シャター開閉軸作動レバーが赤○部の切り欠けに落ちず、シャター開閉軸が回転しません。
低速ホイールドラム・低速ホイールドラム解除レバー・戻しバネを外し、各々が納められていた軸及び軸穴を洗浄し、オイルを塗布します。
マイナスドライバーを加工してシャター開閉軸止ナット外しを製作し、反時計方向に回してシャター開閉軸止ナットを外します。
メインバネを組み込む際に注意が必要です。
1)黄色①にメインバネの一端を、もう一端をシャター開閉軸に黄色②掛けます。
2)メインバネの両端からメインバネを外さないよう緑③と緑④の間の突起を乗り越えさせます。
3)又はバネ掛けと言う先端を曲げた道具を製作して黄色②へメインバネを掛ける方法もあります。
初期型と2型の違いは、裏蓋・フィルム枚数系に大きな仕様変更があります。
機構的には初期型を世襲しています。小さな本体に収められた機構は単純の様で奥が深いのです。機械式写真機は個体数が急速に減少させており、カメラ修理教室に於いても教材を揃えるに苦慮しています。
又、指先を使い、頭を回転させ、思考することは良いことで何時までも脳を活性化させる方法と思います。