修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2015.05.22【Vol.1229】
塗装を省いた白鏡筒はNEWタイプなのでしょうか?先ずは汚れに汚れていた外観の掃除を致し見違える綺麗さになりました。
外観だけの汚れだけではなくヘリコイドの回転に不具合がありました。
締め付け環を外し、ヘリコイド部と鏡筒部とに分離します。
両者の間には個体固有の焦点調整環があります。
広角レンズは焦点用と距離計用ヘリコイドの構成になっています。
レンズマウト部の4本ネジを外しますと焦点用と距離計用のヘリコイドに分かれます。
距離計用外・内ヘリコイドは前後どちらの方向にも抜けてしまいます。
金床をレンズマウト裏面に置きます。内ヘリコイドを回転させると金床に接し外ヘリコイドと面位置になります。製造時でしょうか?その後でしょうか?両者に罫書きがありました。
レンズマウント(外ヘリコイド)の内側に汚れが見られます。再組み立ての際に不都合が起きる可能性があります。薬品で錆・汚れを清掃します。
焦点用ヘリコイドの分解に移ります。
締め付け環を外し滑空仕様の内ヘリコイドを分離します。
緩めている際に締め付け環が内ヘリコイドにあるキー(赤○部)に妨げられてしまいますから内ヘリコイドを手前に引き上げながら分離します。
焦点用ヘリコイドを分離するには無限位置係止板・ヘリコイドキーガイド・近距離係止ネジの障害物があります。
出来れば無限位置係止板を外したくありません。ヘリコイドキーガイド・近距離係止ネジを外した所、外・中ヘリコイドを分離できました。
ヘリコイド線条は複数仕様になっています。組み込み位置は1ヶ所のみです。
終端位置を探ることをしませんでしたのでヘリコイドの線条を替えると両者はどの様な位置関係になるか検証してみました。
1)正しい線条位置から一山先で組み込むと無限位置係止板で止まらず無限位置係止板を固定しているネジで止まりました。
2)両者を正しい線条位置で組み込みますと無限位置係止板で止まります。
3)正しい線条位置から一山手前で組み込みますと無限位置係止板を越えて止まりました。
広角レンズのヘリコイドは焦点用と距離計用とに分かれた仕様の為、グリスの選定も考えねばなりません。
距離計用にはDC-4を塗布し、焦点用にはGE-X8を塗布すると滑らかな回転をもたらしました。
絞り値環に塗布してあるグリスが固着間近のようです。
絞り値クリック板・Cリングを外しますと絞り値環が外れました。
固着間近のグリスを拭い新たなグリスを塗布しますと心地よいクリック感が伝わってきました。