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修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー

2015.02.20【Vol.1199】

ROLLEIFLEX 35F 編(鍵の歯車)

鍵の歯車

伝達の手段の歯車。組み合わせ方を間違えると収めるに難儀して神経衰弱になります。
情報を持ち合わせていなければ、この先分解せず「さようなら」になります。
情報を持ち合わせていない場合は良く観察を致します。その裏付けと申しますのは、組み立て時を想像することなのです。全て想像が現実になるわけではありませんが。。。
分解に当たり中間歯車A&Bが組み込み時の鍵と判断したのです。

鍵の歯車

全ての部品をフロントカバーから外してしまいました。

鍵の歯車

絞り値作動ダイアルを外して判明したのは、ゼンマイが組み込まれていたと言う事実でした。何の為に?です。想像するに歯車を咬合させるには「のりしろ」が必要です。その「のりしろ」をゼンマイの作用により一定方向に歯車を寄せていると考えたのです。
組み込みます時、ゼンマイが作用する巻き加減と致し、テープで動かないよう固定しておきます。

鍵の歯車

社名板を返すと衝撃を受けた痕跡がありました。同じように衝撃はフロントカバーに伝わり潰れておりました。この僅かな高低差が当該部品の滑空に影響を与え「重い」と言う症状になりました。定盤上で平面に修正致します。

鍵の歯車

最初に組み込む絞り値作動環を開放位置か、最小絞り位置にして窓から見える絞り値表示環の値を合わせます。

鍵の歯車

スペサーを敷いてS秒時作動環を収め締め付け環で固定します。

鍵の歯車

S秒時環は押さえ環を乗せ、赤○部をネジで止めます。
押さえ環はS秒時環が1/500~B60迄動作する制限の役割をしています。
S秒時ダイアルを組み込みS秒時作動環と咬合する歯車を取り付けますが、この時点では1/500からB60迄単独で動かすことが出来ます。

鍵の歯車

ROLEEIの緑2から緑60迄シャターダイアルが動く機構の不思議さです。
別に機械的に開いている時間を制御している訳では無く覚えとしてレリーズしている間だけのタイム代わりなのです。
機械的に制御し、シャターと咬合しているのは1/500から1秒までです。緑2から緑60迄は押さえ環のカム溝(注1:赤点線矢印間)によりS秒時作動環(注2:緑矢印部)を逃がす機構になっていました。

鍵の歯車

S秒時表示環を締め付け環で固定します。
S秒時環は1/500の位置としました。窓に1/500を満足させるように中間歯車B組み込みEリングで止めます。

鍵の歯車

最後に中間歯車Aをショルダーネジ止めます。
確認として、絞り値ダイアルを回し、開放から最小絞りまで変化するか?を確認します。
同じように秒時ダイアルを回し、1/500から緑60迄変化するか?の最終確認をします。

細々と記しましたが、要は絞り値作動環・S秒時作動環の合わせ位置が目視出来るように表示環を組み込めば良いことになります。
まだまだ中枢部の解析が残っていますが、楽しみにとっておくことにします。

隠居人 田口由明

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