GN NIKKOR 45/2.8編（木賊の研磨力）

GNニッコールのヘリコイドガリガリは機構上の持病だと説明を受けていた。補修部品があれば修復できるが払底をしている。現役時代担当外で経験がありません。
では、何とかならないかと腑分けをしてみました。
ゴムアダプターで前群レンズが外れました。

３本ビスを外すと距離環が外れて、差し込みのＧＮ爪も外れてきました。

マウント環は５本のネジで外れ、絞り値環も外すことが出来ました。
指標環は４本のネジで固定されていますので外します。

中ヘリコイドを時計方向に回すと無限位置になり、覚えの為に外ヘリコイドとに卦書を入れます。

対称位置に直進軸２本があり、外します。

中ヘリコイドを時計方向に回転させると終端位置になります。
組み込み時の覚えとして中ヘリコイドの卦書き線に合わせて外ヘリコイドへ卦書き線２本を入れます。

内ヘリコイドはニッコールとしては珍しいネジ切りのない滑空仕様でした。
分離する時、噛んでいるかと思うほど硬かったですね！

断面が二種類の素材で構成されていることを示しています。外ヘリコイドの線条は内ヘリコイド内筒に妨げられ姿を見せません。出来れば両者を分離したいのですが、上手く分離できませんでした。

仕方なくベンジン浴をさせ旅行時に持ち帰りました歯ブラシでゴシゴシすると無数の金属片が出てきたのです。
ヘリコイド、ゴリゴリの原因物質か？

ご近所で木賊を戴いてきました。民具修理に木賊？の発想はないですね。木賊はケイ酸を含んでいますので古来より研磨剤として柘植櫛や漆器の生地加工に使われています。
音楽家の滝廉太郎は身だしなみに気を使っていたようで、常々爪を磨いていたようです。

内ヘリコイド滑空仕様に歪があるようで京都開花堂茶筒の如く重力で落ちていかないのです。最初研磨剤を紙に塗布して歪んだ所を磨いていました。小一時間かけて歪を修正したのですが埒があきません。
そこで、前の画像の木賊を近所へ戴き試してみたのです。
効果てきめんでしたね！現代のサンドペーパーですと強すぎてしまいます。
木賊の研磨効果は優しく修正をしてくれたのです。茶筒までとは行きませんが、良き滑らかさになりました。
今回の修繕できたGNは宮崎大玉金柑「たまたま」でした。