修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2015.03.06【Vol.1202】
フィルムは高価で現像プリント代も高い時代でした。5割増に撮れ経済的と画面サイズ24X24mmは鳴り物入りで市場投入されましたが、ハーフ判に軍配が上がり思った程生産されませんでした。プリント時の面倒なのが原因のようです。
載せているシャターはコパル製ですし、大きな障害は無いだろうと推量したのが間違いでした。
軍艦部を外すに巻き上げ部・巻き戻し部と分離していきます。
問題は経年変化で硬化している擬皮でした。
溶剤を使用すると溶けてしまいます。無理に剥がそうとするとボロボロと原型を止めなくなります。
硬化した擬皮はドライヤーで温めますと柔らかくなり扱いやすくなります。
剥がしやすそうな位置からカッターで少しずつ様子を見ながら剥離していきます。
原型を傷めては価値が無くなりますから、2時間を掛けて剥がすことが出来ました。
底部にありますシャターチャージ板を逃がし、本体からシャター部を分離しました。
締め付け環を外しますとシャター部と取り付け部とに分かれます。
シャター羽根がゆっくりと開閉する原因はメインバネ軸の油分切れによる錆でした。
錆取り剤で処理をして注油をします。
シャター開閉環も外し清掃を致します。
距離環・距離指示環と外し、ヘリコイドを外すことにしたのです。
グリスの経年変化で固いと言う症状がありましたが、ヘリコイドを外すことが出来ました。
所が外・内のヘリコイドが一緒に外れてしまい、喜んだのはヌカ喜びとなったのです。
無限位置を出すのは測定器がありますので簡単なのです。しかし5mの所へクリックが止まらねばなりません。
この5mに設定しf8にしますと被写界深度の効果により無限から近距離まで焦点を結びます。
其れに内ヘリコイドには複数の線条が刻まれており、締め付け量により微妙に位置がずれてしまうのです。
良く観察しますと何やら罫書き線があり、安堵したのも束の間、全てを満足する訳ではありませんでした。
3個目の合わせ位置として絞り値の合わせが浮上しました。
この問題は絞り値表示盤の接着が剥がれて、最後に貼り付ければ済むと納得したのです。
1)外ヘリコイドの締め付け量を一定として締め付ける。
2)無限位置を出した後、内ヘリコイドのクリックピンが入る角度を割り出してクリック盤を外ヘリコイドで固定することでした。
3)絞り値表示盤は剥がしておき最後に貼り付ける。
製造時は如何にして合わせていたのでしょうか?組み込み位置が確認できず、測定器で無限を出し、5mのクリックを満足させるために2日を要してしまいました。