修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2015.08.07【Vol.1255】
前群レンズの内側に見事な真菌花火が咲いてしまいました。
前群レンズを外しますと絞り羽根に油分の湿潤が見られます。
面倒なプリセット絞り羽根の脱脂をすべく腑分けをする事にしました。
定石の締付環を外しますとヘリコイド部と鏡筒部に分かれ、ヘリコイド側と鏡筒側の間にレンズ固有の調整環が入っています。固有ですので紛失や組み込み忘れには注意が必要です。紛失や組み込み忘れをしますと焦点が合いません。
NIKKORレンズのf1:2の後群レンズを外すには鏡筒の底部に位置する切り欠けに届く専用工具が必要になります。
時として専用工具が必要になる事があります。図面を引かなくても町の旋盤匠にお願いすれば引き受けてくれました。かつて日本の製造業を支えていた彼らは仕事が無く廃業しているのです。
絞り値クリック板を外します。
3本の剣先ネジを外し、絞り値作動環を分離します。
締付環(赤○部)の剣先ネジを外し、絞り値作動環を外します。
後に絞り値作動環と咬合しています絞り値作動軸ネジを外します。
押さえ棒バネを飛び跳ねないよう気を付けながら外します。
絞り値作動筒の内径に合わせたゴムアダプターを台座とします。
鏡筒の後群レンズ側(黄色矢印)から竹串を用いて絞り羽根のダボを均等に突きますと鏡筒を分離する事が出来ます。
油分で張り付きました絞り羽根。加工精度に違いが見られませんが、絞り羽根を順番に剥がし並べ脱脂します。
脱脂した絞り羽根は絞り作動筒上で並べた後、鏡筒を被せ左右に振ると自然に絞り羽根ダボ穴に収まります。
多少位置にズレが生じた場合でも竹串で絞り羽根を捌けば収まります。
鏡筒を被せるときに絞り値作動筒にあります絞り値作動軸ネジ穴が鏡筒側の開放位置と合わせる必要があります。