修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2015.01.30【Vol.1191】
お世話になっております東武池袋カメラ修理教室の方が譲られまして、とライカをお持ちになりました。由緒あるライカのようでⅠ型を製造元で改造したⅢ型の様でした。
取り付けられていたHektorは機番がありません。
長い年月を経たレンズはゴミと経年変化の酸化により酷いクモリが発生しています。
日頃のお礼にと出来る範囲での清掃するに預かったのです。
其れでは、何処まで綺麗に出来るか?腑分けを致すことにします。
絞り値表示環にある穴よりドライバーを差し込み固定ネジを外し、少しだけ緩めておきます。
押し込み仕様の遮光環を取り去り、現れました固定環を外します。
剣先ネジを外し、絞り値表示環を反時計方向に回すとバヨネット環から鏡筒部が分離されます。
沈胴仕様はバヨネット筒を無闇に抜いてしまうと、ヘリコイド部に貼ってありますフエルト繊維が立ち上がり収めるに苦労します。
そこで考案したのが先導筒で斜辺が徐々にフエルト繊維を押し広げた所でバヨネット環を後部に連結させれば難なく収めることが出来ます。
前・後群レンズを分離し、清掃を致します。
前群レンズを分離してある状態では鏡筒に残っています絞り羽根のバラケには注意が必要です。絞り値作動環も分離し、古いグリスを拭い新たなグリスを塗布します。
ヘリコイド仕様は単線条ですので無限制限ネジを外し、終端位置の確認をした後、近距離制限ネジを外せばヘリコイドを分離することが出来ます。
洗浄後のヘリコイドです。残るはグリスの塗布のみとなりました。
レンズはコーティングされていませんから比較的綺麗になり、撮影可能な状態になりました。次回、お会いしたときには喜んで頂けると思います。
種種の職業の方が受講していますから、隠居人の及ばない知識をお持ちの方がおられます。
引き物は図面を元に製作しますから、基本図面がありませんと頼むことが出来ません。
カメラ修理に欠かせない開蝶器。時計用工具を利用するビットを製作して頂きました。