修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2015.04.03【Vol.1213】
中途半端な85mm焦点距離と思いきや個体数が少なく人気のようです。 チョイト探し出して、ニッコールの持病であるグリス交換をしてみました。 この時代の設計者は明快な機構で組み立てやすく、後々の修理迄考えた構造になっています。 前枠赤○部のセットネジを外し、反時計方向に捻って外しますとヘリコイド部・鏡筒部に分離します。
6本のネジを外しますと距離環を分離することが出来ます。
5本のネジを外し、バヨネット環を外します。 絞り値環にあります絞り値作動ネジを外しますと絞り値環を外すことが出来ます。
3本のネジを外しますと赤矢印方向に被写界深度環が抜けて分離できます。
直進キーを固定している2本のネジを外します。 中ヘリコイドを反時計方向に回転させると、製造時の罫書き線が一致して終端位置になります。 終端位置の確認が済みましたら、反転時計方向に回転させると中・内ヘリコイドが外ヘリコイドから分離できます。
内ヘリコイドにも制限板が取り付けられていますが、中ヘリコイドに取り付けられている制限板を外します。
制限板を外しましたら内ヘリコイドを時計方向に回転させますと内ヘリコイドに取り付けられている制限板により止まり終端位置になります。 製造時に卦がかれました罫書き線に合わせて内ヘリコイドに2本線の罫書き入れておきます。
3ヶに分離された線条は、スポンジにベンジンを含ませ綺麗に致します。 新たなグリスを塗布して組み立てます。 ヘリコイドは複数の線条で滑らかな回転をもたらします。ですから組み込み時に線条が1本ずれますと元に戻すことが出来ません。 分解時に終端位置(組み込み位置)を確認しておくことが必数となるわけです。