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修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー

2015.02.13【Vol.1197】

ROLLEIFLEX 3,5F 編(ナマケモノが住み着く)

ナマケモノが住み着く

二眼レフは不具合を起こすと構造上修復するに大変な労力と時間を消費しますので避けてきました。銀塩全盛期の頃は高価であったROLLEIも銀塩凋落とフィルム供給停止の問題もあって右肩下がりです。そして製造から年月が経過し、グリス等の経年変化で満身創痍の状態です。ではと修理を依頼しますと代価は高く個人ならまだしも商売となると引き合わないのです。どれ程大変なのでしょうか?ジャンク品がありましたので検証してみました。症状として被写界深度環A&Bの緩慢な動きがありました。ナマケモノが住み着いたのでしょうか?

ナマケモノが住み着く

赤丸①②のネジを緩め電流計を分離します。

ナマケモノが住み着く

フィルム装填時の様に2ヶ所のノブを引き上げ、各々固定している3本ネジを外し分離します。裏蓋押さえ板も外します。

ナマケモノが住み着く

化粧皮を剥がします。流石ですね!本革を使用しています。

ナマケモノが住み着く

6本のネジを外し、右側板を分離します。

ナマケモノが住み着く

接着剤を緩めCリングを除けますと被写界深度環A&Bと距離環ノブが右側板から分離されます。
35Fは突出した露出計が災いして衝撃に遭う機会が多々ありますから、被写界深度環A&Bの変形の有無を確認します。そして汚れ等を清掃し、元に収め被写界深度環A&Bが軽く動作するかを確認します。
動作に問題はありませんでしたが、本体に収めますと緩慢な動きは改善されませんでした。

ナマケモノが住み着く

となれば本体側に問題があることになります。S秒時と絞り値ダイアルを動かしますと連動している被写界深度作動板の動作及び追針作動板が緩慢な動きをします。

ナマケモノが住み着く

フロント部分を分解し、S秒時&絞り値連絡板を外し、確認をしたのです。問題無しでした。
S秒時&絞り値連絡板はジャイロ歯車によるS秒時&絞り値を受け渡す役目をしていますから固着しているなら兎も角、作動しておれば役目を果たしている事になります。

ナマケモノが住み着く

追針作動板及び被写界深度作動板の動きを何度も観察致しました。
結果、緩慢な動きは使われているグリスの経年変化による粘度の増加で3本の引っ張りバネの力量が負けていると判断したのです。
粘度が増したグリスを洗浄しなければなりませんから、腑分けをしなければなりません。
そこで電流計台座を外せば何とか辿り着けるのでは考えたのです
所がそうは問屋が卸しませんでした。電流計台座の裏側にセレンから電流計に供給されるリード線が取り付けられていたのです。
電流計台座を外すには、フロント側を分解してリード線を外さねばならない構造なのです。
今回の学習は此処で打ち止めとしましたが、聞きしにまさる構造でした。

隠居人 田口由明

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