修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2016.08.12【Vol.1368】
カメラ修理教室の受講生より分解出来ないのだけど。。。?と相談を受けました。
コラム記事のタネとして風呂敷残業を致すことに致しました。
本来社名環を外せば投げ込みの前群レンズを外すことが出来ます。
緩まない原因は?と観察すれば前環に衝撃を与えた後遺症で歪みが起き社名環を押さえつけていました。
尚、前環と社名環(フィルターを取り着けるネジ切り)のノリシロが僅かですし、修正するには可なりの衝撃を与えます。となればレンズバルサムの剥離に繋がる恐れがあります。
溶剤を注し前環を外しやすくしてから、分離することに成功。
歪みで前方向に社名環を外せませんので、送り込んで分離を致し修正を施しました。
レンズサッカーを利用し、水平を保ちながら前群A&Bレンズを分離致します。
締め付け環を外し、鏡筒部とマウント環を分離します。
鏡筒部とマウント環を分離した際に注意すべきは焦点調整環の処置です。
理由は、焦点調整環でレンズの無限焦点位置を調整しているからです。測定器があれば動かしてしまっても問題は無いのです。
マウント環と鏡筒を慎重に分離し、動かないよう焦点調整環に塗料を流しておきます。
塗料が乾くまで鏡筒部には手を入れません。
後群レンズも投げ込みですが、鏡筒と接する部分の加工跡は美しくはありませんでした。
物の見事に菌糸に覆われて曇り硝子果ですね。カビの元はドイツ産でしょうか?それとも日本産なのでしょうか?
マウント部のクロームメッキに腐食が見られます。薬品処理後でも腐食の痕跡は残りましたのも過ぎた時間経過の足跡で宜しいのでは無いでしょうか。
澄んだ清流の透明感が蘇り、新たな記録の光をハロゲン化銀に記録しづける事でしょう。