修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2016.10.21【Vol.1389】
往年の民具の質量環が安心感をもたらします。クロームメッキの色合いが落ち着きます。 今では使用できない薬剤により再現は難しいです。 ゴムアダプターで社名環・前群レンズを分離していきます。社名環の回転が渋い場合は溶剤を注すと比較的楽に外せる場合があります。
締め付け環を外しますとヘリコイド部と鏡筒部とに分かれます。 尚、ヘリコイド部と鏡筒部の間には固有の調整座金で焦点の調整をしてあるので紛失・組み込み忘れに注意が必要です。
直進キーを外しておいてから、押え環を緩め滑空ヘリコイドを分離します。
4本のネジを外し、距離環を分離します。赤X部は外しません。
先に滑空ヘリコイドを分離してありますから、外・内ヘリコイドは自由に回転します。 時計方向に回転させると両者の終端位置になりますので覚えておきます。 そして反時計方向に回転させると身二つになります。
スポンジにベンジンを含ませ線条を清掃します。
絞りクリック板・制限ネジ・絞り値作動軸を外します。 最後に残りましたCリングを溝から逃がし回転させながら外します。 もし絞り値環に経年変化したグリスに問題が無ければ、絞り値作動軸のみを外します。
グリスの経年変化による回転不具合がある場合は絞り値環と鏡筒部を溶剤で清掃後、新たなグリスを塗布します。
Cリングを外してゴムアダプターを差し入れます。
鏡筒部とゴムアダプターを動かないように押え、差し込んだゴムアダプター側を下にしてから、静かに鏡筒部を持ち上げ、絞り値カム環上に位置する絞り羽根とに分離します。 絞り羽根ダボが鏡筒部の穴に残る場合は、後群レンズ側より竹串で押し出します。
絞り値カム環より順番に絞り羽根を外し、ベンジンで洗浄致します。 洗浄が終わりましたら絞りカム環上に組み込み鏡筒部を被せ、鏡筒部側の穴に落とし込みます。 但し、絞り値カム環の側面にある絞り値作動軸が収まるネジ穴と絞り値環に取り着けられている部品と合致させるように位置を見極め、鏡筒を被せねばなりません。
東京日本橋店の店舗ブログから足かけ10年になりました。 料理記事は女性に人気の様です。菜園や農作業も賛同いただける方もおると思います。 そしてコラム名が修理人であるからして分解の記事を楽しみにしておられる閲覧者も多々居られる事でしょう。しかし分解するネタの入手に苦労するところなのです。 歩みを亀以下にして出来る範囲で歩んで行くことに致します。