修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2016.08.19【Vol.1371】
レンズは苦悶格闘の末、ヘリコイドグリスの交換に至りました。
さてさて本体自体に如何なラビリンスが待ち受けているのでしょうか?
ボロ隠しの化粧皮の痕跡があり、ネジ頭が見えています止めネジを緩めますとコイルバネの作用により持ち上がってきました。
枚数計とスペサーを分離します。
2本のネジを外し、枚数計送り爪を逃がしながら巻上ノブを分離します。
巻き戻しノブを反時計回りで分離します。
3カ所の剣先ネジを緩め、速度ダイアル押さえを外します。
速度ダイアルにコイルバネが収まったまま分離します。
組み込みの際のコイルバネ踏みつけに注意が必要です。
①~⑥のネジを外しますと上カバーを外すことが出来ました。
ファインダー視野が制限されていたのはミラーの剥離でした。
シンクロ切片に繋がるリード線を外しておきます。
此処でしばしの長考を致しました。と申しますのも速度制御する機構を理解しなければならないからです。
観察しますと減速歯車組品は2種類のカムレバーがシフトレバーの役割を担いトランスミッションである減速歯車組品歯車の組み合わせを制御しているようです。
お~っ!オリンパスペンFの速度制御機構に通じるではありませんか?
其れは布幕フォーカルプレーンと金属製回転幕の違いでは無いかと、勝手に想像してしまいます。
フィルム室側から6本のネジを緩めますと前板部が分離出来布幕の作動状況が把握出来ました。
巻き上げることで潜望鏡は後幕軸に刻まれた螺旋で下へ押し上げられ係止レバーに寄り固定され後幕軸から離れ回転を阻害しない作りになっていました。
レリーズすると係止レバーが外れ、コイルバネの反発力で潜望鏡は元の位置に納まり、先幕が作動を始めます。各回転部に注油して動作するようになりました。
製作された時代には存在しなかった電気的速度検査機で1/1000を測定してみました。
お~っ!半世紀以上前の機構の営みが表示されたのです。速度検査機も時代物ですが、喜びでしたね!
問題は巻き戻し軸受けに組み込まれている速度制御カム部にありました。
と申しますのも巻き戻し軸のグリスが故渇したのか?又々摩耗による金属が噛んでいるのか?巻き戻し軸の回転に問題が生じていたのです。
如何にして速度制御カム板部を分解すれば良いのか?一時作業を中断したのです。