修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2016.07.15【Vol.1358】
梅雨ですね!保有のレンズにカビを育ててしまいました。
MDレンズは専門外であるからして得意ではありません。数多ある引き出しから参考になる情報を引き出します。
王道としてゴム環を分離し、下に隠された道筋を探します。
ゴム環を外すと2ヶ所のコロが現れ、動作させながら動きを観察します。
2ヶ所のコロを除くと前群レンズが外れました。
現れたズームレンズ裏側にカビの発生が見られます。安易にズームレンズを外せれば良いのですが、機構上コロが取り着けられると推測しますので無理をしません。
此処でも動作させながら観察すると押え環を外せるようです。溶剤で接着剤を緩め分離します。
押え環を分離しますと距離環を外すことが出来ました。対面に位置するX印の4本ネジは外しません。
外してはいけない4本のネジで制限板が取り着けられておりました。ズーム表示環にある制限ネジで近距離から無限までの作動範囲を作り出しています。
ズーム表示環には長めの制限ネジと短ネジで止めてあり、分離するとズーム表示環を外せます。
ズームカム環が現れます。2種類のカム溝とコロがあります。
どのコロを外せば最短に目的を達せられるのか?動作させながら見極めます。
見極めた赤○部のコロを緩めズームレンズが緩んで来たのか?を確認します。
2ヶ所のコロを外すとズームレンズを外すことが出来ました。
指先に痛みを感じると鉄片が刺さっていました。
ズームレンズの裏側と対面のレンズのカビを清掃することが出来ました。
前群レンズは、前環・前群レンズ・ヘリコイドで形成されており、赤○部の3本の剣先ネジを緩めてはいけないのです。
では、何のための構造なのか?前環にはコロを取り着けるネジ穴があります。
と言うことは前環の位置とヘリコイドの線条位置と相関関係にあるようです。
ヘリコイドの線条は4本で90度毎となっています。
ヘリコイドの直径が48mmですので円周は約150mmになります。線条4本で割ると37.5mmになります。
37.5mm回転させると線条の角度で前後に前群レンズが移動して焦点を結びます。
しかし微妙に無限位置で焦点を結ばない場合があるのです。所謂、前ピン・後ピンです。
両者の関係で微調整させるのですね。
前群レンズとズームレンズを分離しましたが、ワイド側の機構は分解していません。
帰り道を急ぎ組み立て、カメラ本体に取り付け、無限合致を確認します。
ズームコロの変形や外的要因が無ければ無限合致します。
思わず剣先ネジを緩めてしまった場合は、他の所を無闇に弄り回すとスパイラルに陥ります。
無限合致がズレてしまった場合は、剣先ネジを緩めておいて無限位置にて前群レンズを回し合致したところで剣先ネジを締め付けます。