修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2016.07.29【Vol.1363】
1956年製英国のPriflex 3であるが、本体・レンズ共不具合が見られる。久し振りに骨のある個体であろうと思う。この後、カメラ本体で苦悶するとは想像だにしなかった。
前群レンズは難なく分離できた。
マウント環を外し、後群レンズも問題なく分離できた。
念のためマウント環を元に戻しておく。
使用してあるヘリコイドグリスの経年変化で回転が非常に重い。出来ればグリス交換をしたい。
化粧皮を剥いてみた。3本の剣先ネジで距離環を固定してあるが分離することは出来なかった。剣先ネジを締め付け元に戻しておく。
再度マウント環を外し観察します。鏡筒部の赤○部は、何らかの治具を差し込む穴にしか見えない。でも頑として動かない。
反射防止の塗料を全て拭う。溶剤シンナーを使用するが緩まない。そして綺麗に拭っても塗料が線として浮かび上がってくる。と言うことはヘリコイド部と鏡筒部は別物であることを知らせている。
只今、歯の治療中で食い縛ることで破損させる訳にはいかない。暫く放置しても塗料が融けきらないのか?判断が誤っているのか?冷却期間を置くことにした。
日を改め溶剤シンナーを注入する。矢張り頑として緩まない。
塗料が融けきらないのか?例え治具で締め付けても長い時を経ているので締め付け量が緩んではいないだろうかと思考する。試しに反時計回りから時計回りに回すと分離できた。過去の引き出しに無い仕様であった。ゲルマン系アングロサクソンの思考か。。。
距離環を無限位置にて分離し、被写界深度の赤線に合わせて内ヘリコイドへ罫書きをする。
ヘリコイドの線条の溝は乏しく、ほぼ滑空ヘリコイド仕様であった。
ベンジンを含ませたスポンジで清掃すると照明に反射する光あり、摩耗した金属片であった。
作業を進めていると指先がチクチクする。天眼鏡で拡大すると金属片が刺さっていた。
それは、思考の発展に衰えが見えるぞ~ぅ!の金属片の一矢であったのか?