修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2016.10.28【Vol.1392】
富士フィルム独自方式「開放測光方式」に対応した爪があり、無闇にM42規格だからと他のカメラに装着するには注意が必要です。
絞り羽根作動が緩慢とヘリコイドグリスの経年変化の交換を試して見ました。
赤○部の剣先ネジを緩め前環を外します。続いて前群・後群レンズを分離しました。
距離環を無限位置にして4本のネジを外します。緩み防止用にワッシャーが入れられており締め付け時には忘れてはなりません。
距離環を静かに分離して被写界深度環の中心部に合わせて無限位置として罫書いておきます。
3本の剣先ネジを緩め被写界深度環を分離するとマウント部と鏡筒部を固定しているネジ3本が現れました。
マウント部と鏡筒部に分かれ、無限位置罫書きを動かさないようにして直進キーを分離します。
中ヘリコイドを緑矢印方向(半時計回り)に回転しますと終端位置になります。中ヘリコイドの無限位置罫書き線に合わせて外ヘリコイドへ終端位置を表す2本線の罫書きを入れました。その後、反転させて外ヘリコイドから内ヘリコイドを組み込んだまま中ヘリコイドを分離します。
内ヘリコイドを緑矢印方向に回転させると内・中ヘリコイドの終端位置になりました。
先に罫書いた無限位置罫書き線は隠れてしまいましたので、新たに両者の終端位置として罫書き線を引きます。
罫書き線を引き終わりましたら反時計方向に回転させ分離し、外ヘリコイドを含め古いグリスを洗浄し、新たなグリスを塗布して組み込みます。
絞り羽根室にある3本のネジは外しません。試しに外してみますと楕円径の穴が開いており、絞り羽根開放設定が出来る仕様でした。
Cリングを外しますと絞り羽根室が分離できます。
裏側に絞り値径を決める絞り値カム環が収まっており、外します。
絞り羽根室の側面から押え環を止めている3本のネジがありました。
推論では三分割の120度と思いますが、念のため鉛筆で罫書き線を入れておくと安心です。
押え環に薄らと油分の湿潤が見られます。
絞り羽根を外し、絞り値作動環の側面にも油分の湿潤を認めました。
この僅かな油分が絞り羽根動作緩慢の原因でした。
絞り羽根を含め絞り羽根室全体をベンジンで洗浄後組み込んでいきます。
絞り羽根室の組み込みが終わりましたら、ゴムアダプターを台座として鏡筒の穴と絞り羽根室の突起を合わせながら鏡筒を被せて結合させます。
台座のゴムアダプターを押えながら上下位置を変えCリングを組み入れて固定します。
長い間、納戸で眠りについていたEBC FUJINONの手入れが終わりました。
少しずつ断捨離をして行きたいと思います。