種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2014.01.10【Vol.149】
測光モードの話でも少し触れましたが、カメラの内蔵露出計には被写体のごく一部分の明るさを測るスポット測光というモードがあります。
光を取り入れる受光角は1°、5°といったように非常に狭い角度で画面中心部数%の部分の光を測るわけです。日が差し込んで部分的に光が当たりその周辺が暗いシチュエーション、輝度差のあるシーンなどにおいて、多くのカメラの標準的な測光モードとして定着している評価測光を使うと画面全体の明るさを平均して測ってしまい、どうしても見た目より写真が明るく仕上がってしまいます。露出を測りたい部分だけにカメラを接近することが可能であればどんな測光モードでもOKなのですが、受光角の狭いスポット測光は離れた位置(カメラ位置)からピンポイントの明るさを測ることができるという点が特徴です。
スポット測光が便利かどうかは別にして、日中のスナップから風景、ポートレートにおいて、いろいろな反射率(明るさ)のなかで撮影することがほとんどですので、ある特定の明るさを知りたい場合には利用できる機能です。また、写真全体の平均的な露光量を知りたい場合は、いくつかのポイントを測光した平均値からその写真全体の露出を決める必要があります。
撮影直後に画像が確認できてしまうデジタルカメラの撮影に慣れてしまえば、露出に対してそこまでシビアに確認しない方も多いかも知れませんし、実際測光モードがどのような設定になっていてもあまり気にならないのが正直なところです。自分が望む露出結果が出てしまえば、どのような測光方式を用いても問題ないのですが、ただ、その自分が望む露出結果を得られやすい測光モードは人それぞれ異なると思います。被写体に応じてあれこれ測光モードを変えるものでもなく、とはいえ測光モードを変えてみると意外にも自分が望む露出値がカンタンに得られたりするなど撮影者にとってなんとももどかしい機能の一つです。