種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2014.10.31【Vol.191】
本州各地でも本格的な紅葉を迎える11月。山間部から都心部へと徐々に見ごろを向かえる紅葉は、桜と同様、標高と気温に大きく左右されます。また、冷たい水が流れる川の周辺と山間とでは色づくタイミングも違ってくるようです。
真っ青な秋晴れと紅葉にPLフィルターを利かせて鮮やかにコントラストを高めて撮影するのもよしでしょう。ただし、PLフィルターの使い方は意外とカンタンではなく、特に広角側では「片効き」と呼ばれるような青空半分にPL効果が現れてしまうこともあり、常に太陽の位置を気にしなければなりません。
個人的な経験ですが、秋の青空のような青みが強いシーンでは、このPLの「片効き」が目立つように感じられます。また、PLフィルターによるコントラストの変化は、日中、太陽の高い場合は水平線方向、順光が当たる被写体にその効果が強く現れますが、太陽が傾くにつれ水平線方向の効果は弱くなります。
PLのその効果の具合については最大限かけるのか、少しなのか、被写体に応じてテスト撮影や経験をつんでからの撮影が必要です。特に紅葉は色がにごったり、空が青くなったりしすぎてしまうことも多々ありますので注意しましょう。
もちろんフィルターは使わずに露出の加減で明るさを微妙に調節して自然本来の色を楽しむのもよしでしょう。もしくはそのデータを元に撮影後の画像処理を行うことで色調、階調をコントロールすることももちろんできます。
もともとは雨天で地味な色合いしか見せていなかった紅葉を色鮮やかにすることもできれば、反対にPLフィルターの効果が強すぎてコントラストが高く不自然な色になった場合にサイドを提げることもできます。
作例はそれら2つのパターンを元に画像処理したものです。
その1の写真は雨天、夕方の薄暗いライティングでPLフィルター無しの写真のコントラストを上げたもの。トーンカーブの調整と明るさをマイナス調整。WBを6500Kにしています。
その2の写真は快晴下、PLフィルターを最大限にかけて彩度を上げたようにみせ不自然な色味を出したデータを、色味を落ち着かせてややフラットなコントラストにしたものです。トーンカーブでコントラストを押さえ、明るさをプラス、WBは岩肌のもっとも白い部分を基準に調整しています。
いずれも難しい処理ではなく、お手持ちの画像ソフトでも手軽に行えると思います。RAWで撮影したデータであれば、画像の劣化の心配も基本的にありません。何パターンかに変化を持たせた画像処理したデータを現像保存しておくといいでしょう。