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2014.09.12【Vol.184】

フラッシュバルブの話

暗いシーンをいかに手軽に撮影するかについては、写真ができて以来常に考えられてきました。もちろん長時間露光をすれば暗いシーンでも写すことは出来ますが、動く被写体はぶれてしまったり、消えてしまいます。フィルムの感度が100とか400を普通に使うようになったのは戦後のことで、それまでは大体高くてもISO64相当、通常はISO12、36などが一般的でした。こうなると、暗いシーンでの撮影は困難です。そのため人工光源をつかう方法が必要になります。

現在では一般的なストロボも発明されたのが1940年ごろとわずか80年弱の歴史で、カメラにも内蔵され特殊なものでなくなるのが1970年代です。それまで一般に広く使用されていたのがフラッシュバルブです。もう少し時代が前になると閃光粉を使った撮影が主に写真館などで使われていたのですが、比較的安全でだれにでも扱いが簡便なフラッシュバルブがメジャーな光源でした。

1890年頃に初歩的なものが開発されたフラッシュバルブですが、1930年代から徐々に普及していくようです。電球の中にマグネシウムやアルミ、そして助燃剤となる硝酸ナトリウムを封入し、電流を流すことで発火させるもので、日本でもたくさんの種類が発売されていました。形状は一般的な100Vの裸電球といった様子。差込み部分も通常の電球ソケットと同じエジソンベースのものや、戦後になるとバヨネットベース、スワンベース、ミゼットなど差込ベースの形状もさまざまになります。電源は乾電池(積層電池)のおよそ3V以上の電圧だけで発光(一度発光すると電球の中身が燃え尽きてしまう)できる手軽さで、発光装置も大げさなものでなく、手入れも要らないことやシャッターと同調させやすいことも普及の要因かもしれません。

小さなものは小指程度の大きさですが、発光量は小さなストロボをしのぐ明るさで、大型のフラッシュバルブになるとガイドナンバーは200を超えるものもあります。ですが、フラッシュバルブは連続発光できない不便さや燃焼後のバルブがゴミになるなどの問題点もあり、次第に高性能化していくストロボに次第にその座を奪われていくことになりました。日本では2005年ごろまで生産されていたようですが今ではなくなっています。

現在海外で生産されているものが3種類ほどありますが、洞窟など巨大なくらい空間を撮影する際など特殊用途に、それと映画などで時代演出用の撮影小物として利用されているようです。

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