種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2014.10.17【Vol.189】
レンズの代わりに取り付けるだけでカンタンに特殊効果が得られる、ユニークなレンズアタッチメントがあります。低解像、色のにじみや歪みなどのいわゆるレンズの収差を大胆に残したレンズともいえ、チープな本体、そしてその写りを楽しむ写真愛好家は多いようです。有名なものに「HOLGA」や「レンズベビー」といったものが挙げられます。プラスチックのレンズを一枚だけ使用した独特のボケ味が得られるものから、レンズを2~3枚使用してシャープなピントが得られるもの、そして、レンズ部分を自由雲台のように動かすことでピント位置を自由に変化させることができるレンズなど、バリーエーションはさまざまです。
今回はレンズベビーというレンズ本体部を大きく動かして大胆なアオリ効果が得られるトイレンズを使って撮影してみました。アオリとは本来建物などカメラから高さや距離があるもの、球体、立体である被写体を実物そのままに歪みや遠近感なく撮影する機能です。一方でこの機能を応用することで、ミニチュアのような写真を撮影したり、画像周辺部の像を大きく流した写真が撮影できます。
レンズベビーのカメラへの取り付けは交換レンズを取り付けるのと変わりはなく、手持ちのボディーと同一のマウントを揃えておけばOKです。レンズベビー自体には電子接点がありませんので、露出とピントはマニュアルで設定します。そして、レンズベビーの特徴であるアオリを使って撮影です。露出、ピント、アオリの効果を確認しながら撮影するためにもライブビュー撮影が便利でしょう。また、レンズベビー自体のレンズアタッチメントを取り替えることで、ピントの合う範囲を変更することも可能です。
いつもと違った写真を手軽に楽しんでみたり、トイカメラの世界に興味がある、といった方には面白いレンズなのではないでしょうか。