修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2014.03.14【Vol.1072】
軍艦部を分離するには、巻き戻しノブを引き上げフォークとノブを分離し、現れた2本のネジと吊り環側のネジを取り去る。
分離した軍艦部には逆ガリエオ型ファインダーとセレン起電露出計が組み込まれている。
本体側に残るのは枚数計が主です。シャター部に繋がるシンクロリード線(赤と黒)を外します。
底部にはフィルムを巻き上げる大きなノブとシャターをセットする簡易な機構部が収められている。
赤○部はシャターセットの過不足を修正する偏芯盤がネジで固定されている。
恐らくシャターが開閉しないのは羽根に油分が付着しているものと思う!
確認の為に腑分けをしていきます。距離環を無限位置にして3本の剣先ネジを外し、無限位置をずらさないよう距離環を分離します。
シャター側の指標点に合わせて前群レンズに無限位置の印を付けておきます。
印を付けたら前群レンズを時計回りに回転させ終端位置を探っておきます。
何故、印や位置を確認しておくかです。前群レンズは回転式のヘリコイド形式になっていますから、無闇に外しますと焦点を結びません。
完成後曇硝子をレール面に当て、ルーペで焦点の確認をすれば済みますが、印を付けておくことで簡易に済ますことが出来ます。特にシャターを開放に出来ない個体には有効な考え方です。
無理をしますと羽根を損傷します。羽根開放レバーを上下に動かし油分の固着かどうかの確認をします。レンズシャター特有の持病のようです。
ボロ隠しの擬皮は剥がさずフィルム室側から4本のネジを外すとシャター組み品を外せるようです。
シンクロアース線と絞り作動環を止めている3本のネジを外します。
シャター後室と機構部を止めている3本のネジを外します。
2枚の羽根の根本(画像変色部)に油分の湿潤が認められました。溶剤で洗浄致します。
洗浄後組み込むわけですが、シャター後室側壁に掛かる3ヶ所のバネが邪魔になります。
減速歯車作用バネを除いた2ヶ所を外しておくことにします。
メインバネの掛かりを傷めないよう外します。
開閉レバーA&Bを止めているネジを外します。
外したネジに2個のバネが取り付けられています。ネジには括れが2ヶ所あり、それぞれの括れに収まっており、組み立て時にバネ位置を確認してから締め付けます。
細い下側のバネの一端は開閉レバー赤丸(1)に、赤丸(2)には両者のバネの一端が位置します。
赤丸(3)はシャター後室側壁に位置します。
係止レバーはカシメになっています。
Bレバーを外します。此処にも2個の細いバネが取り付けられています。
赤丸(1)にバネの一端が、赤丸(2)のBレバーに一端が位置し、飛び出ている両者のバネ(赤丸(3))はシャター後室の側壁に位置します。
取り付けが終わりましたら係止レバー&Bレバーの動きを確認しておくことが大事です。
残りました減速歯車作用バネが邪魔をして機構部をシャター後室に収めるのが面倒です。
そこで露出計が組み込まれた不要な民具より強力な磁石を借用利用することで羽根が落ちずに収めることが出来ます。
ハーフ判カメラは高度経済前の豊かになる過程の民具でフルサイズに比べて2倍の記録が出来経済的でした。後にフルサイズとハーフ版切り替え機構が搭載された民具も発売され混ぜご飯で撮影されたネガを焼くに作業者が大変だったと伝えておりました。
CADDY(小さな箱)と名付けられた民具は銀塩凋落の中で若い女性が持ち歩くアクセサリーとして人気が出ているようです。何はともあれ銀塩写真機が若き女性により継承されることは喜びと思います。