修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2014.06.20【Vol.1111】
社名環は押さえ環で固定されており、組み込み時の社名環固定位置に注意する。
前環と前群レンズは、どちらかが緩まないようネジ切りをして剣先ネジで止めてある。 構造的には前環が外れるようだが、何しろ固い!!痛めている肘には酷ですね! ゴミが酷く締め付け環を外し、G1レンズをレンズサッカーで吸着するも引っ掛かりがあり分離できなかった。無理をするとレンズ生地周辺部の損傷に繋がります。
飾鏡筒にある剣先ネジ(赤○部)を外し次の画像の押さえ環を外すと鏡筒部が分離する。
鏡筒部を押さえながら押さえ環を外す。
ライツ社のレンズは加工精度を求められる投げ込み仕様でした。
押さえ環を外すと後群レンズA・Bの構成になっていました。
飾鏡筒の中に個体固有の調整座金が入っている。
バヨネット側から鏡筒を固定している押さえ環を外しますが、塗料で接着されていると思われる乱反射軽減環が緩みませんでした。
それでも鏡筒押さえ環を外すことが出来、分離できました。
飾り鏡筒は摺れによる傷がありましたので、酸化セロックスで鏡面に磨きました。
沈銅仕様はヘリコイド部と飾鏡筒の間にフェルトが貼り付けてあり、出し入れが渋い場合には抜いて清掃をしなければならない。抜き去った場合、フェルトが元の状態に戻るので納めるに難儀する。
そこで簡単に納める方法は無い物かと思考したのが誘引筒でした。誘引筒の先端は斜辺加工にしてあるので徐々にフェルトを押し込んで行きます。
誘引筒の径が飾鏡筒と同じ径迄押し込んだ所で飾鏡筒を連結し押し込みます。効果は絶大でした。でも、昨今は旋盤の匠も高齢や事業閉鎖で引き受けてくれる所を探すのが大変になりました。
距離環を止めている2本ネジを外して分離します。
現れた中ヘリコイドに取り付けられている制限版ネジ(1)と(2)を外します。
中ヘリコイドに取り付けられている制限板は外ヘリコイド制限(赤点線部)により、回転を邪魔されます。ネジを外された制限板を両者の隙間から外します。
中ヘリコイドを時計方向に回転させると終端位置となり被写界深度目盛りの中央に合わせて印を付けておきます。
この個体は回転式の単純ヘリコイドであり制限板を取り付けられるように線条を組み込めば済みます。
洗浄後新しいグリス(NPC社製GE-X8)を塗布し組み上げて完成です。