CANON 28mm 1:2.8 編

村上春樹著「1Q84」では二つの月がある世界で物語が語られていました。
実は広角レンズも焦点用と距離計用の二つのヘリコイド仕様になっており、両者は連動して片や焦点をフィルム面へ導き、片や距離計の三角測量の一翼を担っています。
其れでは、両者のヘリコイドの仕組みを腑分けし、再組み立てしていくことにします。

距離環を近距離位置にすると締め付け環緩み防止の剣先ネジが現れる。
剣先ネジを外し、締め付け環を外します。

締め付け環を外しますとヘリコイド部と鏡筒部に分離します。
両者の間には個体固有の焦点を結ばせるための調整環があります。

化粧環・締め付け環を外します。

外しました内ヘリコイドは滑走仕様でした。

レンズマウント部、４本のネジを外します。

合致用ヘリコイドと焦点用ヘリコイドに分離します。
焦点用中ヘリコイド（赤○部突起）が合致用中ヘリコイドの凹み部分と咬合します。
（合致用ヘリコイド内のレイヤー画像を参照）

焦点用ヘリコイドに取り付けられている無限制限・直進キー・近距離制限を外します。

中ヘリコイドを時計方向に回すと直ぐに終端位置になります。
終端位置に罫書きを入れて反転させて分離します。
経年変化したグリスを洗浄し、新たなグリスを塗布して組み込みます。

１）(1)の様に外ヘリコイド内径に合う金床を用意して水平を確認致します。
２）中ヘリコイドを時計方向に繰り入れますと金床に当たり止まります。何度か同じ作業をしますと誤差が無くなります。
３）ひっくり返しますと外・中ヘリコイドは同一の面であることが確認できます。
４）外・中ヘリコイドへ罫書き線を入れ終端位置と致します。
終端位置を確認致しましたから中ヘリコイドを抜き、洗浄後、新たなグリスを塗布して組み込みます。