修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2014.09.19【Vol.1143】
ヘリコイドが頑として動きません。金属の腐食によるのか?ヘリコイドグリスの固着なのか?まずは主訴の原因を特定すべく腑分けをしていきます。
赤○部の剣先ネジを外し、半時計方向に捻り化粧環を分離します。
化粧環が外せたことで前群レンズが外しやすくなり、鏡筒もヘリコイド部より分離できます。
バヨネット環は4本のネジを外し、分離します。
絞り値環には絞り値作動板が取り付けられており、止めネジを外して分離します。
スベリ止めのゴム環をめくりますと、中ヘリコイドと距離環がテープで固定されていました。理由は定かではありませんが、ヘリコイドの回転に不具合があり、本来ならば無限位置へ動かしたいところです。固定テープを剥がしておきます。
被写界深度環を止めている3本のネジ、クリックバネを外し、被写界深度環・距離環を分離します。
ヘリコイドが動きませんから、仮無限位置として罫書きを入れておきました。
ヘリコイド筒にはそれぞれ線条を切りました筒で構成されています。
ですので直進キーを外し、中・外ヘリコイドが回転するかを確認致します。
どうやらグリスが固着しているようで可成り粘っていましたが、少しずつ動き出しました。
そして、中・外ヘリコイドの組み込み位置を探るために中ヘリコイドを反時計方向に捻り、止まった位置を終端位置として罫書きを引きます。
中・内ヘリコイドは完全に固着しており頑として動きませんでした。
ヘリコイドを抜くに二通りの方法があります。
一つは溶剤漬けにし、放置して溶けるのを待つかです。
もう一つは、熱を加えてグリスの粘度を低下させ分離する方法です。
ドライヤーでアッチチになるまで加熱して外すことが出来ました。スポンジに溶剤を含ませ清掃しますが、線条の底まで届かず、歯ブラシを利用し残っているグリスを拭います。
ニッコールにはグリスの固着するマクロレンズが存在します。
同じグリスが使われていると思われますから選択グリスの問題なのでしょうね!
種種のヘリコイドに使用して評判の良いNPC製GE-X8に交換致しました。良い回転をもたらしてくれました。