修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2014.06.27【Vol.1112】
1959年発売ですから、隠居人棒を振り回して野原を駆けめぐっていた時代です。
取り付けられていたレンズはProminar50mmf=1.4、他に85/3.5&35/2.8が用意されていたようです。人気が出なかったようで販売数量が伸びず、現存数は、もそっと減らしていると思います。
初顔合わせは悩みます巻き上レバー止めネジ。何故なら右・左ネジか?が分からないからです。
どちらか分かりませんから一気にエイヤーと言うわけには行きません。
手の平に伝わる開蝶器の感触から判断を致します。結果、時計方向の逆ネジでした。
出来る範囲で清掃を致します。
問題は経年変化によるヘリコイドグリスの固着でした。
前・後群レンズを分離致します。
4本のネジを外し、バヨネット環を分離します。
無限位置にて距離環を止めている4本の剣先ネジを緩め分離します。
もしズレてしまった場合は、距離環の繰り入れか、繰り戻しで修正を致します。
外・中・内ヘリコイドに無限位置で在ることを示す罫書きを入れます。
完成後、謎の環の役割が判明しました。KOWA140はレンズ交換式のレンジファインダーです。謎の環は本体側にある距離計連動ピンに接し距離計を動かす役割だったのです。
測定器が在れば問題になりませんが、ヘリコイドを分解する前に距離計の無限合致を合わせておくことが重要になります。
そうすれば作業中に謎の環を動かした場合に謎の環の位置を修正すれば良いことになります。
謎の環の役目が分かりませんので無限位置をノギスで測定をしておきます。
外・中ヘリコイドの関係、終端位置を確認し、外ヘリコイドに2本の罫書きを入れておきます・同じように外・内ヘリコイドの関係、終端位置を確認し、外ヘリコイドに2本の罫書きを入れておきます。
分離した各々のヘリコイドはベンジンを含ませたスポンジで洗浄します。
新たに塗布したグリスはNPC製GE-X8。
絞り羽根の動作原理は、絞り値作動環Aの中にBが滑走する機構でした。
絞り値作動環Aのバネ止め位置が支点になるので押さえ環を締め付ける位置に注意します。
絞り羽根の組み込みは反時計方向へ並べていき、最後の羽根を一番に組み込みました羽根に潜らせます。