修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2014.12.05【Vol.1170】
コーティングされていますので戦後の製品と思いますが、隠居人の歳と余り変わらない質実剛健の仕様です。
焦点距離が9cmと長焦点は、距離計用と焦点用の分かれたヘリコイド仕様でした。
単純に距離環にある3本ネジ(赤丸はその内の1本)を外せば分離できると思ったのです。
そうは、問屋は卸しませんでした。複雑な二重ヘリコイド仕様もあって分解を諦めました。
寝付きがわるいですね!一晩頭を休め“お告げあり?”で腑分けすることにしました。
前部から分解出来ませんから底部より取り付くことにしました。
マウント部に頭部の大きなネジ4本があります。外して良いのか?悪いのか?ネジを外さず途中迄緩め様子を見ました。何やら溝に他のヘリコイド?が、咬合しているようなのでネジを外さないことにしました。
次の外すべき部品は?です。被写界深度環に剣先ネジを確認し、被写界深度環の邪魔になります三脚座を外します。
結果、ヘリコイド部とマウント部を被写界深度環で締め付けていたのです。
問題は距離環を如何に分離するかでした。
天眼鏡で拡大しますと距離環は梨地塗装、距離表示環は梨地メッキの違いがありました。
両者の仕様に違いがあると言うことは別物です。
固かったですが距離表示環を外すことが出来ました。
残る距離環も外します。
ヘリコイド全体が姿を現しました。
焦点調整環は剣先ネジで固定されており、焦点調整環のねじ込み量が焦点を結ぶ位置を決めているようです。ですから、触らぬ神に祟り無しでそっとしておきました。
締め付け環を外し、焦点用滑空内ヘリコイドを分離しました。
既に何本かの罫書き線がありました。無限位置で外・中ヘリコイドの組み込み位置の用です。
ここからが正念場です。無限位置にて全体の寸法を確認しておきます。
何が厄介かと申しますと焦点用中ヘリコイドの溝に距離計用ヘリコイドにある突起に咬合されているからなのです。そうなのです!!どの時点で両者を咬合させるかになります。
距離計用ヘリコイドは本体の距離計と整合性を執るために加工されています。
加工されている部分を黒マジックでなぞりましたら、製造時?の罫書き線と一致したのです。
拡大しますとこの様な関係になっています。
遂に分離することが出来ました。
洗浄後、外と中ヘリコイドにはモリブデングリスを距離計用ヘリコイドには粘度の低いグリスを選択し組み込みました。
其れにしても絡みました糸を解すように思考しなければなりません。
いささか疲れを感じました。