修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2014.06.06【Vol.1104】
仏国産のANGENIEUXは良い思い出がありません。在職時代に手掛けたことがありなのです。所が焦点を合わすのに苦労し、出来れば門前払いか?で悩みました。
定石として背面にあります締め付け環を外してみました。
すんなりとヘリコイド部と鏡筒部は分離せず、ねじ込み仕様になっていました。
両者の間に位置する調整環は個体固有ですので紛失や組み込み忘れに注意します。
次に分解すべき路が見つかりませんでした。
外せそうな部品は絞り値環のようです。絞り値作動軸を外しますと、絞り値環はネジ込み仕様でした。
お~っ!!腑分けの道筋が見えてきました。
色々な文字や罫書き跡があります。各々の締め付け位置を記録した物と思います。
最初に(1)を次ぎに(2)の剣先ネジを外しますとそれぞれのレンズが外れていきました。
絞り羽根に油分の湿潤が見られます。
締め付け環・絞り値室と外せるように見えますが、暫し観察を致しました。
作業の邪魔になりますので後群レンズを外しておきます。
最後に残りました(3)の剣先ネジの役割は?、でした。
通常ですと(3)のネジは絞り室の何らかの部品が動かないよう固定している役割が殆どです。
絞り羽根には上下にダボ(突起)があり、一点は固定され、もう一点を動かして絞りの値が変化する構造になっています。
もし外したならば絞り開放設定をしなければなりません。
念のため、剣先ネジを抜いたときにピンバイスをネジ穴に差し込み印と致しました。
固定環を外しましたら絞り値室毎外れてきました。
絞り開放設定をしなければならなくなりました。
締め付け環を外しました。
油分の湿潤で絞り羽根を持ち上げましても張り付いたままです。
十分に洗浄して組み立てます。
仏国製の写真機を手入れする機会は希ですね!
観察しますと回転ヘリコイドのようで、直進ヘリコイドと比べると簡易な構造です。
赤○(1)と(2)で固定してあり、組み込み位置が決まっている構造のようです。
被写界深度環に3ヶ所のネジが姿を現しました。
被写界深度環を取り去りますと、外・中ヘリコイドになりました。
中ヘリコイドが回転しますので制限ネジが取り付けられており、外ヘリコイドに設けられた範囲を回転します。画像は無限位置になっています。
制限ネジを外します。
中ヘリコイドを時計方向に回転させますと終端位置となりまして、中ヘリコイドのネジ切りに合わせて外ヘリコイドに印を付けておきます。
後は溶剤で洗浄し、新たなグリスを塗布して完成です。