修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2014.01.17【Vol.1048】
締め付け環を外しますとヘリコイド部と鏡筒部に分離しました。
鏡筒部側には個体固有の調整環があります。紛失や組み込み忘れは焦点を結ばなくなります。
3本のネジを外し、絞り値環を外します。
隠れていた前環の緩み防止ネジ3本(赤○部)が姿を現しました。
前環の緩みは此処まで分解しなければなりませんし、力で前環を緩めては損傷に繋がります。
前環を分離しなくても前・後群レンズを外すことが出来ました。
絞り羽根に油分の湿潤がありませんが、絞り値作動環にシブさがあります。
鋼球押さえ板と鋼球・絞り値作動板を取り去ります。
絞り値作動環押さえはネジ切り仕様ですので3本のセットネジを外して分離します。
締め付けの際は、絞り値作動環が開放から最小絞りまで動くことと、前後に動かない適正な位置でセットネジを締め付けます。
Cリングを外します。
ゴムアダプターを絞り値カム環迄差し込み、鏡筒毎反転させて絞り値カム環上に絞り羽根を乗せたまま分離します。
絞り値作動環のシブさは、グリスにゴミ等が混じり合った経年変化です。
鏡筒側の絞り値カム環との滑走面を清掃致します。
絞り値カム環と絞り羽根を鏡筒に納めた後、絞り値カム環を外し鏡筒部との滑走面の清掃をし、若干のグリスを塗布して収めます。
締め付け環を外すと滑空中ヘリコイドが外れました。
近距離側制限と無限側制限に手を付けない方が良さそうな気がしました。
でも直進キーが邪魔をしています。
3本のネジを外し、距離環の分離は出来ました。
けれども被写界深度環を外すことが出来ませんでした。
分かりやすいように被写界深度環を外して撮影しました。
直進キーを起点として無限位置にて外・内ヘリコイドに印を付けました。
レンズマウント側の4本ネジを緩めると、直進キーが取り付けられている環が緩むようです。
4本ネジを外してみました。
すると直進キーを取り付けてある環は自由に回転致します。当然、内ヘリコイドの回転範囲も自由になります。
内ヘリコイドを赤矢印方向に回転させますと終端位置になりました。
外ヘリコイドに2本線の印を付けておきます。
内ヘリコイドを終端位置から反転させますと全てを分離することが出来ました。
マジックで付けた印を消さないよう、両ヘリコイドの線条を清掃致します。
再組み立てする際に被写界深度環の組み込み忘れに注意が必要のようです。
何を隠そう隠居人も忘れて、余分な作業をしてしまいました。