種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2017.03.31【Vol.315】
桜の開花が例年より少し遅いということですが、その前に春先に咲く小さな野草が見頃を迎え出しています。2月中旬の梅に続き、3月に入ると公園の下草の脇から小さな花が顔を覗かせます。
先週、晴れ間の少ない薄曇りの日に、東京近郊では比較的有名な、向島百花園という野草を鑑賞するのに最適な公園に標準ズームレンズを一本持って出かけてみました。本来であれば小さな野草を撮影するのにマクロレンズも便利なのですが、APS-Cサイズセンサー機と135mmまでのズームレンズとの組み合わせでどの程度撮影できるかの実験も兼ねてみました、APS-Cサイズ機種ですので、焦点距離は1.5倍ないしは1.6倍となります。望遠側は135mmまでですので実質約200mm相当の望遠撮影が可能です。また、標準ズームということもあり、最短撮影距離が短いので、被写体に接近できればマクロのような撮影も期待できます。
2点の写真はいずれも向島百花園で13時ごろの撮影です。晴れたり曇ったりを繰り返していましたが、花の撮影には薄曇りもちょうどよかったりしますので、作例以外にもたくさんの野草を撮影できました。
まず、キブシという枝からぶら下がる実のような小さな花が連なる様子を、半逆光、背景に小さな玉ボケが出る位置から撮影してみました。黄色い花と枝とのコントラストよく発色の良い仕上がりになりました。焦点距離は150mm相当で狙っています。
白い小さな花が無数に連なるユキヤナギは近所の公園でもよく見かける花です。マクロレンズを持ち合わせていないので、花のクローズアップとまではいきませんでしたが、200mm相当の望遠、最短約40cmの距離で撮影することで前後のボケを見せています。また順光のように光が強いと余計な影が目立つのも小さい花の天敵ですので、日がかげった薄曇りの状況でシャッターを切っています。
満開の桜が待ち遠しい季節ではありますが、その前にちょっと寄り道して身近な場所に咲く春の草花に目を向けてみてはいかがでしょうか。