種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2017.09.15【Vol.339】
天候は少しずつ秋を感じる気温や日差しになっていましたが、例年に比べていささか不安定な日は続いています。やはり撮影は天気の良い日に行いたいのが共通の思いでしょう。
今回は天気の良い日に見つけた光に対する「影」に注目して撮影してみました。
9月10月の日差しと3月頃の日差しはどこか似ています。わずかに太陽も傾きが強くなり影が長くなります。今時期は午後3時ごろから5時ごろの光は斜めの角度で差し込みます。今回はその光によって出来上がった影そのものが持つ形の面白さに注目してみました。
見る位置を変えて影を観察することで、その形や見え方が変化していきます。ぼやっとした影ではなく具体的にそれが何者かわかる立体的な影。被写体そのものを捉える写真とは違い、何か意味ありげな雰囲気を感じます。光が強く被写体に直射(逆光)すれば影の輪郭はくっきりと現れてきます。曇りのような拡散光で今回の作例のような写真を撮影すると影の印象が弱いのでちょっと不向きかもしれません。アンダー目の露出も忘れずに。マイナス1やマイナス2のような露出補正で影の印象を暗く見せていきます。
今回の作例のように、ビルの壁面に落ちる手すりの影は、ほんの一瞬雲の切れ目から強い光が差してくれたことで偶然見つけたものです。都会のように高いビルができては取り壊されが多い街だと、タイミングがずれると見れたり、見れなかったりも出てきます。赤いトタン塀に落ちる電柱の影も、たまたま手前が空き地であるから見えるだけで、何か建物ができたら見ることはできません。最後の自転車は逆光に照らされて手前に延びた影ですが夕方の光であるために長さが出ています。28mm程のワイドで地面に近づいて撮影していることもその長さを強調するのに一役買っています。
同じ影一つとっても、いろいろな形があるものです。写真で大切な光、それについてくる影。両者をじっくり観察することも撮影の第一歩なのではと思います。