種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2017.07.07【Vol.329】
6月下旬の金沢。滞在日程のうち一日は、案の定雨に降られました。地元の人に聞けば金沢は年間を通じて日照時間も少なく、梅雨時期にはどんよりとしたチャコールグレーの雲に覆われる日も多いのだとか・・・。低い雲が立ち込めると一日中しとしとと雨が降り続けることも少なくないようです。確かに、滞在中にタブレットで見た天気予報や雨雲レーダーでは、時折晴れ間が見えるといった天候の回復を期待させる情報が得られたものの、地元の人のはなし通り、日中は一向に回復する兆しは見られず弱い雨に降り続けられてしまいました。
そんな中での撮影でしたが、1800年代~昭和初期面影を残す金沢の町は雨に濡れることでも一層の風情を見せてくれました。この日は、主計街とひがし茶屋街、寺町を歩きました。主計町は浅野川のほとりにある小さな茶屋街です。細い路地と両脇に茶屋が並び、裏手には「坂」と呼ばれる小さな石段があります。国道から一本それただけで突然タイムスリップしたかのような情緒ある木造建築に出会うことができます。晴れた日には路地の上から日が注ぎ、斜光線が合わさって茶屋の格子に素敵な影を作っていました。
続いて、浅野川を渡り右手の路地に入っていくとひがし茶屋街が広がります。日曜日ということもあり多くの観光客で賑わっていました。ベンガラ格子が朱色に彩られた区域は特に人が多く、喫茶店や土産物店も連なります。しかし一本狭い路地に入ると人通りも少なくなり昔の面影を残す町並みや路地を撮影できます。また、江戸時代末期の町家を復元した「ひがし茶屋休憩館」の方も非常に親切で雨宿りがてら自由に撮影させていただきました。
最後にひがし茶屋街の北側に広がる寺町を歩きました。5月に訪れた際、ある一軒のお寺の住職に寺町の歴史やお寺の起源をお話しいただき、加えて本堂の中も案内していただきました。お礼も兼ねてそこを目指して再度うかがったのですが、法要の最中でしたので再会は適わず。雨の降りしきる中、お寺の周辺で撮影を済まして帰途に着きました。
5月6月と計6日間の短い滞在でしたが、町の人々との出会いがあり、晴れや雨の日と天気の条件の違う状況で撮影できたことも幸いして沢山の写真を撮ることができました。今度金沢を訪れるときは雪が積もる冬に訪れてみたいと思います。