種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2013.05.10【Vol.115】
古くは200年前の住宅など、日本各地には古民家が保存されています。茅葺き屋根の家、豪華な瓦葺きの家など、地方独特のオリジナリティーある被写体としてとてもフォトジェニックです。 観光地として保存された地域だけでなく、点在していた住宅を一カ所に集めて展示している場所もあり、一度に複数撮影できるのでちょっとしたお出かけには最適です。
昭和期、大正期の近代建築とは違って、木造で建てられているので、その板塀の木目だけ見てもそれぞれおもむきがあります。室内は現代のような明かり取りの窓というものが少なく、一方で天井は二階建て住宅よりも高く作られています。そのため屋外とは打って変わって暗いのが特徴です。室内撮影する際はこの暗いという点を生かして撮影してみましょう。わずかに差し込む屋外の光と室内の影が強いコントラストを見せてくれます。室内の調度品を撮影する際は別ですが、基本的に大幅なマイナス補正で暗い部分を印象づけ、光を目立たせます。また室内で囲炉裏に火を起こしていることも多く、それもまたいい被写体です。
一方、外から家を撮影する際は空の明るさと建物との露出差に注意が必要です。特に建物近づいた位置で露出を合わせると空が白くなり、また空に合わせると建物が真っ暗になってしまいます。「輝度差」が大きすぎるために起こるのですが、両方の明るさをバランスよく撮影するために光の射す位置を観察します。暗くなりがちな建物の壁に光が当たるようなライティングでないとどうしても「輝度差」により露出が崩れてしまします。
暗くなる室内はISO感度を高く(1600)して対応できますが、意外と建物そのものの撮影は難しいということを頭に入れておきましょう。