種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2013.11.22【Vol.143】
11月も後半にさしかかると、市街地の木々が色づき始め身近な紅葉を楽しむことができます。桜は咲き具合、紅葉は色づき具合といったように周辺地域の気温に影響され、それにともない特に撮影地を選定する場合はその地域の標高を基準にすることもあります。寒暖差がある場所の方が紅葉は早く、また小川の脇など水温が冷たい場所の冷気があたる場所も紅葉が周辺よりも若干はやくなると言われています。例年11月20日をすぎたあたりになると標高1000m以下の地域で見頃から散り始めといったところが多いようです。山間部など標高の高い地域では少し茶色が強い木々が目立つのですが、そんな地域でも標高差があれば多少の残り紅葉を散見できますし、太陽の角度によってちょうど順光のライティングで木々が輝きを見せることもあります。
ともあれ11月下旬になり、地域によっては全山紅葉というには時期が少し遅い、そうなれば身近なところでも見られる数枚残ったカエデの葉っぱを狙ってもいいでしょうし、散って地面に落ちた葉の様子を捉えてもいいわけです。紅葉のピークから散った後までというのも、桜の撮影と似ているところがあります。
撮影でよく悩むのが、赤系統の微妙な色のグラデーションは見た目通りにうまく再現できないときです。透過光のようにある程度強い逆光によって輝きを出し、葉っぱ本来の色が透けて見える場合は、はじめに露出補正で明るさを調整します。そうしないと逆光で真っ暗になることがあるからです。
順光の場合でも露出補正は大事ですが、カメラ任せの露出でも大幅な明るさの隔たりはほとんどでません。その場合まず色に変化を付けてバリエーション多く撮影するにはWBの調整が早いでしょう。太陽光、曇り、日陰モードといったように色温度を高く設定して赤みをつける方法です。仕上がり設定(ピクチャースタイルやピクチャーコントロール)を変更する方法でも色に変化を付けることができますが、ただ風景モードにした場合、すこし色が強くでてコントラストが高くなりすぎる場合もあります。特にコントラストにおいては変化を付けたい場合はPLフィルターでの調整を行うといいでしょう。見た目の鮮やかさに目を奪われてどうしても派手でコントラスト高めに仕上げてしまいがちですが、すべての紅葉に適しているかどうか、ということもふまえて設定の変更およびPL効果を調整して複数撮影しておくことをお勧めします。
一年に一度しか訪れない季節限定の被写体だからこそ、自分なりのポイント探しや狙いに工夫をして撮影を楽しんで見ましょう。