種清豊のフォトコラムコラム・ギャラリー
2013.04.05【Vol.110】
構図、露出といった写真に関する技術を知ることが撮影において大切なのは言うまでもありませんが、被写体を見つける(観察)する上で光や影に注意をむけて撮影してみるとまた面白いものです。もっといえば、画面にみえる光と影をどう組み合わせるかということを考えながら構図を決めるということにも繋がっていくのではないかと思います。そして撮影する時間帯を変えるだけで、たとえ同じ被写体でも光の角度が変わり違った雰囲気に見えてくることもあります。 光と影がつくる被写体のコントラストは、肉眼で見た時と写真で見えるものとは一味違います。当然、目で感じる光の様子とカメラが感じる(再現できる)光の情報は異なり、写真の場合露出をコントロールするだけで任意の明るさに表現できることが楽しさの一つとも言えるでしょう。
例えば肉眼では影の部分のディティールを感じることができても、カメラでは薄暗くしか再現できなかったりします。そこで露出を調節することで、暗い部分をより暗く表現し、本来シルエットになっていない部分をそのように表現できたりします。また、暗い要素が画面にあるからこそ明るい部分に目線を誘導するということも考えられます。そして、構造物を撮影する際などでも、この光と影のコントラストを利用することで、より立体的に画面を構成することもできます。
今まで何気なく見過ごしていた街並みや風景にちょっと光を意識してアプローチしてみると新しい発見ができるのではないでしょうか。