修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2013.12.27【Vol.1042】
お~っ!!初顔合わせです。それもその筈Webで調べましたら超珍品とあり、東京神田の東郷堂と言う製造元が1955年製造しました。
姿は独創的と言うか?設計者の遊び心と申しましょうか?この機種のみの仕様です。
コレクターの間では横二眼と呼ばれ垂涎の的のようです。
画像は手入れが終わった状態です。此処までに考えさせられた民具でした。
積載されたサヤーはプロンター系の亜種です。
問題はシンクロ接点に通じるリード線(赤○部)で抜けないように結んでからハンダ付けしてあります。現在(シリコン系)と違いリード線の皮膜が熱に弱い素材を使用しています。製造上の観点からシャター組み品として用意されていたと想像します。ですから、リード線をシンクロターミナルに接続した箇所を探せばと思ったのです。
擬皮を剥がしましたが、一体ダイキャスト仕様で先に進めません。
底カバーを外してみました。??材質が木材?崩落するので木で突っ張り棒をしたのでしょうか?民具の中に木材が使用してあるのを始めて目にしました。絶縁体として使用したのでしょうね!
上部のカバーも外してみましたが入り口が見あたりません。
気を取り直して不具合箇所から修復することにしました。
係止レリーズレバーに変形があり、シャターの動作が出来ませんでした。
素材が焼き入れしていない真鍮でした。一度変形しますと疲労破壊に繋がります。
破損を防止するには他の部品の邪魔にならない範囲でハンダ補強をします。
ハンダはスペースシャトルにも使用されているアルミット製。ハンダの乗りが違います。
ビューファインダー用の化粧環を外します。
フィルム室側より締め付け環を外し、シャター組み品を分離したいのですがリード線が外せず宙ぶらりんでの作業となりました。
シャター組み品を除けながら(1)~(2)のネジを外してみました。
するとビューファインダー組み品を外すことが出来、清掃が出来ました。
被せキャップがルーズになりますと紛失に繋がります。ではとテープで補修していますが見栄えが良くないですね!
フェルトを痛めないよう溶剤で剥がします。ルーズになりました原因は、フェルトの復元力低下によります。オリジナルのフェルトを残すにはコピー紙等で下駄を履かせれば良いのです。見えないようフェルトの幅より細く切り出して貼り付けます。
下駄の接着剤が乾いてからフェルトを貼ります。厚くなりましたから保持力が回復しましたね!超珍品の良き民具を蘇る事が出来ました。宝くじ並の確率でしょうか?出会いに感謝でした。