修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2013.10.04【Vol.1005】
OMレンズは手掛けたくないですね!と申しますのも接着剤を多用して緩めるに苦労をします。東武池袋カメラ修理教室で教材として選択したのです。
予想した通り接着剤が緩まない。受講生は諦めが早く講師に頼りがちになります。
講師も魔法の手を持ち合わせている訳ではありません。溶剤を流し、暫し時間を置き、捻る。ダメか?再度、溶剤を注し捻る。念力?通じれば外れます。外れない場合もあります。
前置きはさておき触りたくない民具のOM ZUIKOに持病の絞りねばりがあります。
原因はヘリコイドグリス分離による湿潤が原因です。
絞り値は開放位置。ヘリコイドは無限位置にして3本で止めてあるバヨネット環を外します。
引っ張りバネを逃がし、バヨネット台座を止めている3本のネジを外します。
バヨネット台座を外してからはヘリコイドを動かしてはいけないのです。
理由は、バヨネット台座がヘリコイド回転の制限になっているからです。無闇に回転させますと直進キーから外れてしまいます。
現れた絞り値連動環を分離します。
先に記述しました絞り値を開放にしておく理由がここにあり、絞り値カム環と咬合しています。F値が明るい分後レンズ群も大口径になっており、絞り値カム環と咬合させる腕が“く”の字に曲げてあります。開放位置以外ですと絞り連動環が引っ掛かってしまい外せません。ですから事前に開放位置にしておきます。
外しました部品が収まっていた溝を清掃致します。
絞り粘りの原因が此処にあり、経年変化したヘリコイドグリス分離による油分の湿潤で動作が妨げられ、引っ張りバネの力量では負けてしまいます。
押さえ板・Cリングを外しますと絞り作動環がバヨネット台座から分離します。
外しました各部品にはネジキリ穴が多数あり、油分が湿潤しています。
ベンジン浴洗浄して再組み立てを致します。
組み込みが終わりましたら、作動確認致します。一つの作業を終えましたら確認する事が大事です。修理教室でも徹底しません。大事なことなのですが。。。
注意事項としてCリングに表裏があります。打ち抜きですので表側は滑面ですね!
裏側で組み込みますと滑りが悪い。一つの部品を外した場合に観察力を高めておきますと??を防ぐことが出来ます。