修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2013.08.23【Vol.989】
昔のレンズの焦点距離は個性的です。3mmの差がハロゲン化銀にどの様な芸術性を残したのでしょうか?
どの様に分解するか?考えさせられましたね。新しい設計ならばと申しても二昔も三昔も前になり、ヘリコイド部と鏡筒部はネジ込みでした。所が、頑として緩まず長考を致したのです。大手門がダメであれば搦め手とマウント環を止めている3本のネジを緩め分離したのです。
マウント環を分離しても手がかりがありませんでした。
手がかりが見つかりませんでしたが、搦め手より攻めるしか道がありません。
距離環を3本のセットネジを緩め(赤○部)外しました。
始めヘリコイドが無限位置にあり赤○部のセットネジは見えませんでした。なにげにヘリコイドを近距離に回転させたのです。お~っ!!出てきましたセットネジが。。。で緩めたのです。
ヘリコイド部と鏡筒部を分離することが出来ました。
3本のセットネジ(赤○部)を緩めPV絞り値環を外しました。
次に3本のセットネジ(赤○部)を緩め絞り値制限環を外します。
絞り値環はねじ込みでした。反時計方向に回転させますと赤矢印方向に抜けたのです。
絞り値環クリック用の鋼球が3個組み込まれていました。(画像では2個のみですが)
セットネジ(黄色○部)を緩めると前群レンズを外すことが出来ます。
前群レンズ・後群レンズを外した所です。
Cリングを外します。
絞り羽根&絞り羽根作動盤が一緒に外れてきました。
絞り羽根を観察すると一昔前の仕様ですね!現在の羽根は裏表にピンが取り付けられてあります。
この時代は一方が折り曲げてあり、もう一方は打ち込みになっています。
絞り羽根の材料は鋼であり、この仕様の場合、絞り羽根作動盤から絞り羽根を外してはいけないのです。無理に外しますと破損に繋がり、元に戻りません。即ちジャンク品の製造となります。慎重に絞り羽根を広げます。
清掃紙を敷き、一枚一枚丁寧に油分を拭き取ります。
清掃紙を敷く事により余分な溶剤を吸い取ってくれますので裏側の溶剤が湿潤することがありません。片面の洗浄が終わりましたら、裏側を洗浄します。
全ての洗浄が終わりましたら丁寧に絞り羽根を元に戻しました。