修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2013.05.31【Vol.959】
隠居人の細胞が生き生きとしている年齢の民具初期型のFM。
現役時代担当した機種ではありませんが、前板を外すに当たって秒時Tフィルムの捌きをどうするか?に微かな情報の記憶を呼び戻しました。
記憶だけでは不安です。そこで講義用に保有してありますFMを分解し、記憶を辿ったのです。
問題はシャター組み品に取り付けられ、秒時と連動してファインダー内に秒時を表示するTフィルムの捌きです。
Tフィルムプリーを固定している止めネジを外します。注意することはTフィルムプリーの下に秒時プリーがあります。
Tフィルムプリーを外し、絡まないよう紐を一方に巻き取らせておきます。
止めネジは秒時連動プリーが外れないよう元に戻します。
本体から前板を分離することが出来ました。
本体からシャター組み品を下ろしたところです。
シャター組み品の裏側にある押さえ板を外した所です。
左下に見える真鍮色のワシャーは後幕組み品が畳まれた時に隙間を保持する役目を担っています。
順次分解していきますと中間板と先幕組み品が油分の湿潤により張り付いていました。
レンズシャターの持病の羽根油と同じ症状ですね!
湿潤した油分の粘着により、先幕組み品の動きが阻害され、先幕が畳みきれない内に後幕組み品が動き出し、幕切れと言う症状になり、露光されない部分が発生します。
長期間使用していない場合は、最高速の秒時に設定し、全開しているかを確認しなければなりませんね!初期点検は重要です。
此度のFMは、拠ん所ない事情があったようです。
事情はともあれ道具として蘇られたことに安堵致した次第です。