修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2013.02.08【Vol.915】
M42マウントの絞り羽根にナマケモノが住み着きますと作動が緩慢になってしまいます。
そして、住処に辿り着き連れ帰るには長いジャングルを歩かねばならないのです。
ゴムアダプターで社名環を外します。
前環の3本のネジを外して分離します。
前群レンズを外します。
距離環を無限位置にして3本のネジを外し分離します。
完成後、無限位置の確認を致します。
1)無限位置が行き足らない場合は、ネジを緩め、距離環を近距離側に動かしネジで止めます。その後、無限側に動かし合致した所で止め、過分な場合はネジを緩め、距離環を無限位置まで動かしてネジを締めます。
2)無限が入りすぎた場合は、ネジを緩めず近距離側に繰り出し合致位置でネジを緩め、距離環を無限位置に戻してネジを締め付けます。
1) 3本のセットネジ(赤○部)を緩め被写界深度環を分離し、続けて絞り値環を外すことが出来ます。外す際に絞り値環クリックの鋼球が飛び出る事ありで注意が必要です。
此処まで分解してきたことにより、鏡筒部とマウント部を繋げているネジ3本が現れます。
両者を組み込む際は、絞り作動連絡板とマウント部の絞り値作動板の咬合忘れに注意します。
1) 押さえ環は接着されています。シンナーで緩めてから外します。
(締め付ける際は絞り作動環が動く範囲とします。接着を忘れないように)
順次、絞り作動環・絞り羽根と分離でき、清掃します。
経年変化と油分の特性により鏡筒内と絞り作動環の滑走面に油分の湿潤が見られます。
この油分の湿潤がナマケモノとなり絞り羽根の緩慢な動きに表れていたのです。
鏡筒内と共に油分を清掃します。
鏡筒部後レンズ取り付け側も油分の湿潤が見られますから清掃します。
清掃の際には直進キーを片方づつ外し清掃します。
直進キー止めネジ用のネジキリ穴(2箇所の赤○部)も毛細管現象による油分の湿潤が見られますので清掃紙をコヨリ状にして清掃しておきます。
清掃が終わりましたらヘリコイドの回転ムラが無いかの確認をします。
ムラがある時は直進キー止めネジを緩めて直進キー位置の修正をします。