修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2013.01.04【Vol.901】
小生のMマウントSUMMRONに触発されてか?不具合の手入れを頼まれてしまいました。
長い時を経てグリスが経年変化してヘリコイドにガタが出ています。
基本的には、MもLマウントも仕様に大きな隔たりは無いと思います。
締付環を外すと鏡筒部とヘリコイド部に分離されます。
但し、鏡筒部とヘリコイド部との間にレンズ固有の調整座金が入っています。
其れとヘリコイド部(赤○部)に凹みがあり、鏡筒部取り付け位置を固定する筈ですが、鏡筒部に痕跡はありませんでした。
固定ネジの形状に注意ですね!国産レンズの場合は剣先ネジで緩み防止になっていますが、ライツ社の場合の固定ネジは注意が必要です。
外しました固定ネジは、その形状から締付環・距離環・ヘリコイド部迄貫通しています。
それ故、固定ネジは取り去らなければなりません。
被写界深度環を止めている3本のネジを外し、分離します。
締付環を外しますと焦点用ヘリコイドと距離用ヘリコイドに分離され、焦点用ヘリコイドは線条が切られていない滑空仕様になっていました。
距離計用ヘリコイドの無限位置の状態です。
焦点用ヘリコイドキーが内ヘリコイドの外径より内側仕様になっていますので、内ヘリコイドが焦点用ヘリコイドキーに邪魔されて動けない所が終端位置となり、罫書きを入れます。
古いグリスを洗浄したところです。Mマウントと比べると線条が粗です。
焦点用ヘリコイドのグリスを洗浄したいので組み込み位置を探ります。
偶然ですね!内ヘリコイドの凹み部と外ヘリコイドの穴が一致して終端位置となりました。
古いグリスを洗浄後、線条が粗なのでキヤノン化成製GE-C9を選択しました。単独では良い感触でしたが組み合わせると、少し重い動きでしたのでDC-4と置き換えました。
組み込みには苦労をしました。と申しますのも内ヘリコイドの線条が切られていない方から外ヘリコイドに組み入れます。即ち、両者の線条が確認でき無いのです。
神経を指先に集中して平行を取りながら僅かな両者の入り口の感触を探りました。