修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2013.06.21【Vol.966】
レッドブックの民具で在るらしい。隠居人は価値が分からない。主訴は絞り値環動かず、は大きな疾病ではなかった(簡単では無いが。。。)。ヘリコイド回転に軋みが見られます。初顔合わせで在る故、慎重に分解の方法を探ります。
締め付け環を外せば鏡筒部とヘリコイド部に分かれました。
Lマウントレンズはヘリコイドの一部が剥き出し仕様ですのでゴミ等が付着しやすし、グリスに経年変化が起きている事もある。始めて対峙する設計者の考えをどの様に汲み取るかでもある。
中ヘリコイドに取り付けられた距離環には4箇所のネジ穴が在るが、一箇所は加工にズレが在るのか?止められていない。
同じように中ヘリコイドに距離環の無限位置を決める制限板が取り付けられており、内ヘリコイドに取り付けられた直進キーが係止をしている。
中ヘリコイドに修復した痕跡がありました。
直進キーを外し、内ヘリコイドを赤矢印方向に回転させて終端位置。中ヘリコイドを黄色矢印方向に回転させて終端位置になります。終端位置の目標物は外ヘリコイドに切られた直進キーの溝でした(赤点線)。
ヘリコイドの線条が細かい上、安易に掴みますと歪みに繋がります。
そこでゴムアダプターを利用して外すことにしました。
経年変化や異物の混入等で一気に抜けてきませんでした。そこで行ったり来たりの猫の散歩を致し分離したのです。
細かい洗浄にグリスの選択を致し、最初に塗布したのはキヤノン化成製DC-4でした。
結果、回転感覚が満足行く物ではありませんでした。
再度、ゴムアダプターを利用してヘリコイドを分離、洗浄する。
常に感じるのは、AとB、BとCとの関係は宜しいのですが、ABCと組み立てた場合、時として満足をもたらさない時があります。
一番は、製造時のグリスが良いのですが、時を経ましては無理からぬ事です。
素材と相性の良いグリス?は何!!此処で決めたいよね!と選択したグリスはパルピス社製POWER GREE L でした。
POWER GREE L は程良い固さと粘りを持ち合わせ良い結果をもたらしました。
合致も出たことだし、此処で完成とする。