修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2013.07.12【Vol.975】
昨年、高齢で体調を崩しました大先生。昨日伺うと梅雨の蒸し暑さからか優れないと話すのです。何時までも健勝で在られることを願う隠居人です。
体調の悪さから依頼の言葉が出ず分解法を研究することにします。
手を入れる前に測定器で状態を確認します。状況を確認するのは、製造から時が過ぎ、その間に手を入れた可能性があり、正しく組み込まれているか?焦点を結んでいるか?の確認です。
ヘリコイド部と鏡筒部を分離します。
距離環Aの緩み防止のセットネジ(赤丸部)を外し反時計方向に回して分離します。
距離環Bは填め込みでセットネジ(赤丸部)を緩めると外れます。
5本のネジを外すとバヨネット環が外れました。
固定環を外します。
固定環が外れますと投げ込みの距離計カム環を外すことが出来ます。
距離計カム環の切れ込みは作動制限板と咬合していました。
3本のネジを外して被写界深度環を外したのですが、作動制限板が邪魔をしているのです。
如何に作動制限板を外すのか?
尚も観察してワッシャーを除くと3箇所にピン状の部品が刺さっていました。
どうやら直進キーの役割を担っているようです。時期尚早なので元の状態に納めました。
なかなか次のとっかかりが見つからず、汚れたグリスを清掃してみたのです。
お~っ!!作動制限板が埋め込まれているではありませんか。汚れたグリスが目張りになり隠れていたのです。そして、ネジで固定されているようです。
外ヘリコイドに9箇所の穴があります。その内8箇所は使われており、一箇所の位置は他の穴に比べると内側にありました。そして当初は汚れたグリスで埋まっていました。
清掃する事で貫通穴であることが判明したのです。
試しに外ヘリコイドを作動制限板まで移動させました。お~っ!!作動制限板を止めているネジ頭が顔を出しました。
作動制限板が外れました。
外ヘリコイドと中ヘリコイドは滑空仕様になっていました。
中と内へリコイドは線条仕様です。内ヘリコイドは径の違いがある部分が繰り出し方向に回転させると突き当たり終端位置になりました。抜ける方向は赤矢印方向、即ちバヨネットマウント側になりました。
洗浄後に滑空ヘリコイドにはパルピス社製のPOWER GREEN Lを、線条ヘリコイドにはキヤノン化成製DC-4を塗布し組み立てると、気持ちよい回転をもたらしました。
一部国産L39マウントに滑空ヘリコイド仕様があります。同じ仕様にしたのはライカ社仕様を引き継いだのでしょうか?