修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2013.03.22【Vol.935】
何時頃手に入れたのだろうか?随分と昔の事のようだ!
放置されていた理由はヘリコイドが回転しない。グリスの経年変化と前任者の保管環境の悪さが相まって固着しています。でも、シフトレンズの経験は無い!!難しいのでしょうか?駄目元で挑戦してみることにします。
マウント側から中を覗くと締め付け環が見えます。たまさか外せば道は開けるのか?
現状より、バヨネット環を外せば作業環境は良くなると考え、5本のネジを外し、バヨネット環を外してみました。
工具を差し込み、締め付け環を緩めてみました。少し緩んだところでレンズ部とヘリコイド部を前後に動かすと隙間が出来ています。となればと、一気に締め付け環を緩めてみました。
ヘリコイド部と鏡筒部に分離できました。
素材が金属ですから、溶剤を使用しても変質の恐れがありません。
困ったときに使用する100均の“はがし液”。隙間から見える洗浄に注し時間を置きます。
今回は効果が無かったようです。それとも、放置時間が短かったのでしょうか?
ヘリコイドを分解するに当たり、基準点を見つけねばなりません。しかし、固着したヘリコイドは動きません。観察すると距離環(2箇所の赤○部)に注目。どうやら距離環自体が回転範囲を決めているようです。
3本のネジを外し、距離環を外します。
始めて見ます直進キーが丸棒状の仕様です。緩まないよう接着(エポキシかロックタイト)してあり、溶剤は使えないので加熱して外しました。
ヒートドライヤーで加熱します。加熱すると金属が僅かですが膨張して隙間が出来ます。グリスも緩むのでは無いでしょうか?加熱、冷やしてを繰り返し、外・中ヘリコイドの線条にはがし液を注入します。
固着のグリスが緩みました。すると、中ヘリコイドにX印があり、反時計方向に回すと終端位置のようです。
無限位置は緩みましてから、追加の罫書きを入れました。
中・内ヘリコイドも加熱の方法を取り緩みました。内ヘリコイドを時計方向に動かしますと終端位置になったのです。
線条に硬化したグリスを丁寧に洗浄しました。綺麗になりましたね!新たなグリスを塗布して組み込みます。
上杉鷹山公の名言「為せば成る為さねば成らぬ何事も」でありましたシフトレンズでした。