修理人たぐちの徒然日記コラム・ギャラリー
2013.11.29【Vol.1030】
反時計方向に捻るとヘリコイド部と鏡筒部に分離されました。
次の分解方法が見つかりません。
飾り環はねじ込み仕様では無いようです。隙間にシンナーを注し、暫く待つと外すことが出来ました。塗料止めだったのですね!
最初に距離環を止めているセットネジ3本を外したのですが、距離表示環が邪魔をして外れません。
距離表示環(赤○部)に穴がありました。この穴は?なのですが、専用工具の突起を穴に差し込み外す為の穴であると想像します。
距離環を外すには距離表示環を先に外しておかなければならないのです。
なぜなら距離表示環は近距離側の制限を兼ねており、鏡筒の最大外径より細い仕様でレンズマウント側へしか抜けないのです。
距離環を止めているセットネジ3本を外すと距離環が外れました。
距離環を外しましたら無限位置=終端位置の印がありました。
焦点用ヘリコイドを反時計方向に回転させますと距離計用ヘリコイドも外れてしまいました。
お~っと!!とんでもないことが起きてしまいました。
洗浄後、新しいグリスを塗布したのです。でも焦点用と距離計用をどの様に組み込むかです。
距離計用ヘリコイド(赤○部)の溝には焦点用ヘリコイドの突起が収まります。
其れでは焦点用・距離計用ヘリコイドの組み込み位置は如何にとなります。
此処で一つ仮説を立てます。
距離計用ヘリコイドを先に組み込むわけにはいかないようです。と言うことは距離計・焦点用ヘリコイドは同時に組み込む事になります。
同時に組み込むには両者の線条の入り口が同じ仕様になっていることが必要です。
寝かせて組み込んだのでは距離計用ヘリコイドの線条が咬合していませんね!
縦位置にして距離計用ヘリコイド同士を平行にします。
焦点用ヘリコイドの組み込み位置であるXを合わせて組み込みました。
全てを組み込み後、測定器で計りますと無限位置で焦点を結びました。
では、距離計は?カメラ本体に取り付けて合致の確認を致します。合致も良でした。
左がThambar、右がHektorの稀少レンズです。
隠居人の記憶もあてにならずで初期のHektorと間違えてしまいました。
今回のHektorはこれよりも新しいが1931年から12年間製造されたようです。
最終1943年製と仮定してもこの世に隠居人は存在していない。
存在していないから分解に慎重となり、半日を要し、専用治具の有り難さを感じた次第です。